米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)は2014年9月11日、産経新聞がインターネットに掲載した記事が朴槿恵大統領の名誉を毀そんしたとの市民団体の告発を受け、ソウル中央地検が同紙ソウル支局の加藤達也支局長(48)を事情聴取した問題について、「言論抑圧の実例」と報じた。
記事ではこの件について「刑事上の名誉毀損に関する法律がどのように言論の抑圧に使われるかの良い実例だ」と指摘。産経新聞の記事は、旅客船「セウォル号」の沈没事故が起きた当日に朴大統領の姿が7時間にわたり確認できなかったことなどを報じたものだが、同様の報道をした韓国メディアの記者は事情聴取されていないのに、国内にほぼ読者がいない外国語の新聞の記者が聴取されていることに疑問を呈した。
記事では事情聴取の意図について、沈没事故で批判に晒らされた韓国政府が過去の支配国の組織と戦うことで国内の怒りをそらし、同時に国内記者が朴氏の危機対応に関する批判記事を書くことを抑止することが狙いだと分析している。
名誉毀損罪の適用は、政府が好ましいと思わない被告やテーマを恣意的に選択できてしまうことから「大変危険」だとした。