コンビニ「土下座」事件で容疑者所属会社が謝罪 これはやり過ぎか、よくあることなのか?

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   大阪府茨木市のコンビニエンスストア「ファミリーマート茨木横江店」で、来店した男女が店員の態度に言いがかりをつけて土下座させたり、お詫びとして「たばこ6カートン」(2万6700円相当)を要求したりした事件で、男女4人が恐喝容疑で逮捕された。

   その中のひとり、野仲史晃(46)容疑者は不動産会社の社員であることがわかっているが、その会社もホームページに「謹告 お詫び」を掲載して謝罪した。

「道義的責任を感じざるをえず、誠に遺憾に存じます」

会社が「お詫び」?「道義的責任がある」というが...(画像は、「三和プランニング」のホームページ)
会社が「お詫び」?「道義的責任がある」というが...(画像は、「三和プランニング」のホームページ)

   コンビニでトラブルがあったのは2014年9月8日未明。数人の男女が迷惑行為を注意した男性店員に言いがかりをつけて、この店員や店長ら3人に店内で土下座させた。そのうえ、「しつけが悪いからこんなことになったんや」「(謝罪の)気持ちが見えへん」などとまくし立て、さらには「うちの若い衆が店に車で突っ込む言うとんぞ」と迫り、たばこ6カートンを差し出させた様子がインターネットの動画サイトに公開されていた。

   コンビニ側が警察に被害届を出したこともあり、言いがかりをつけた男女のうち、恐喝の疑いのある野仲史晃容疑者(46)と中村剛容疑者(39)が9日に出頭した。さらに、11日にはアルバイトの女(39)と10代のその娘を恐喝の疑いで逮捕。店員らを土下座させた動画をインターネットに投稿したのは、10代の娘だったことがわかっている。

   そうしたなか、野仲容疑者が勤めている大阪の不動産会社、三和プランニングは9月11日、ホームページを通じてお詫びした。

   同社は大阪で新築一戸建ての分譲住宅などを手がける、年商41億円(2013年)の会社。報道では「不動産会社」との記述があるだけだが、公開された動画には会社名の入った上着を着ている野仲容疑者が映っており、そこから勤め先が判明したものとみられる。

   掲載された「お詫び」には、

「弊社従業員が逮捕されましたことで、多くの皆様にご迷惑とご心配をおかけしましたことを、深くお詫び申し上げます。
この度のことは私人としてなしたこととはいえ、弊社としてもそのことに対しての道義的責任を感じざるをえず、誠に遺憾に存じます。
社会的責任は重大であり、許されることではなく、厳正に対処する所存であります」

とあり、謝罪している。

謝罪文の掲載「上場企業以外には、あまり例がない」

   会社のこうした対応に、インターネットでは、

「適当に誤魔化して嵐が過ぎ去るのを待とうとでも思ったんだろうが、抜き差しならない状態になったんだろうな」
「お詫びもいいけど、明らかに勤務時間内だよね?」
「遅い。(ホームページの)スタッフ欄からこいつを削除する前に、まず謝罪文だろ」

と、厳しい声がみられる半面、

「今どき家を買う人はネットで情報収集するし、会社への影響は半端無いと思う」
「雇用責任は重大だが、関係ない社員を追い込むのはどうなのか」

などと、会社を擁護する声もある。

   社員が飲酒運転や暴行・傷害などで逮捕される事案は少なからずある。ただ、こうした謝罪文をホームページに掲載する会社は、あまり例がないようだ。

   経営コンサルタントの大関暁夫氏は、「上場企業であれば、マーケットへのアナウンスが必要となるのでニュースリリースやお詫び文を掲載することもあるでしょうが、未上場ではあまり聞いたことがありませんね」と話す。

   第三者からみると、会社の不祥事はむしろ隠したがるほうが「自然」にみえる。大関氏は、こう続ける。

「気をつけなければいけないのは、うがった見方をすれば、会社に何かあるのではないかと、余計に痛くもない腹をさぐられることになりかねないことです。今回は業務中のことではありませんから、個人が起こした問題であり、会社に非はないでしょう。また、道義的な責任を感じる必要もないと考えます。その意味で、やや行き過ぎたコンプライアンスの姿勢といえます」
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