「吉田調書」で完全暴露された菅元首相のイライラ 怒鳴り声ばかりに「何だ馬鹿野郎」と批判

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「あのおっさんがそんなのを発言する権利があるんですか」

   菅氏は2014年9月11日付のブログで、原発事故翌日の現場視察について触れ、「吉田所長に負担をかけたかもしれない」とする一方で、「住民避難の範囲を判断する上で原発がどの程度危険な状況か知る必要があった」「東電本店から官邸に来ていた武黒氏(注:武黒一郎フェロー=当時)が分からないと言う以上、現地に行って責任者から話を聞くしかなかった」と、あくまでも正当な行為だったと強調した。

   ただ、吉田氏の菅氏に対する不信が募ったのは、この訪問だけではなかったようだ。2011年7月29日実施の聴取では、菅氏が東電本店に乗り込んで政府との統合対策本部を設置した同年3月15日について触れている。本店の様子をテレビ会議で知った際、菅氏が「何か知らないですけれども、えらい怒ってらした......要するに、おまえらは何をしているんだということ」と振り返り、「気分悪かったことだけ覚えています」と述べた。菅氏が何の目的で本店に来ていたかも、「知りません」と突き放している。

   極めつけは、2011年11月6日に行われた聴取だ。事故現場からの「全面撤退」が検討されたかに関するやり取りのなかで、「逃げたと言ったとか、言わないとか、菅首相が言っているんですけれども、何だ馬鹿野郎というのが基本的な私のポジション」と強く菅氏を非難している。その後も「撤退」という言葉は使っていないと何度も繰り返し否定。質問者が「ある時期は、菅さんが自分が東電が逃げるのを止めたんだみたいな」と言うと、「あのおっさんがそんなのを発言する権利があるんですか。あのおっさんだって事故調の調査対象でしょう。そんなおっさんが、辞めて、自分だけの考えをテレビで言うというのはアンフェアも限りない」。菅氏を「おっさん」と呼んでいるところに、吉田氏の激高ぶりが伝わってくる。

   菅氏は前出のブログで、「吉田所長の証言と私の証言に、立場の違いはあるが本質的には食い違いはない」と書いている。だが当時、まさに命をかけて最悪の事態を回避しようとしていた吉田氏は、自分や仲間の現場スタッフにむけて「イラ菅」ぶりをさく裂させるばかりで激励の言葉ひとつかけなかった菅氏に対して、不信感を抱くのは理解できる。

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