米アップルが「アイフォーン(iPhone)」の新モデルを2種類発表した。画面の大型化や決済機能の搭載といった点が注目を集める一方、端末の通信機能も強化が図られている。
キーワードは、「キャリアアグリゲーション」。異なる周波数を同時に利用できる仕組みで、国内の通信大手3社ではKDDIのみが新型iPhone発売と同時に対応する。競合するNTTドコモとソフトバンクモバイル(SBM)は一歩リードされた格好だ。
ふたつの周波数を「束ねて」受信最大150Mbsを実現
画面サイズが4.7インチの「iPhone6」と5.5インチの「iPhone6 Plus」ともに、受信時の速度は最大150Mbpsとなる。加えて今回の発表では、iPhoneがキャリアアグリゲーションに対応する点も明らかになった。この「恩恵」を最大限に受けるには、通信ネットワーク環境の充実が求められる。
国内通信会社で唯一、キャリアアグリゲーションをサポートするKDDIは取材に対し、「iPhone6と6 Plusの発売時から利用できます」と明言した。仕組みの大枠はこうだ。KDDIが持つ周波数で2GHzと800MHzがiPhoneに対応するのだが、それぞれの受信最大速度の75Mbpsを「束ねる」、つまり同時使用を可能にして、受信最大150Mbsを実現する。
これに対してNTTドコモは、キャリアアグリゲーションの対応を「2014年度中」としており、iPhone6の発売時には間に合わないようだ。これとは別に、ドコモは現時点でも受信速度最大150Mbpsを利用できる地域はある。ただ、2014年度末までに「基地局数2000局」が目標とのことから、利用可能領域が広いとは言い切れない。IT系オンラインメディア「エンガジェット」も2014年9月10日付記事で、「少なくともiPhoneにおいては100Mbps超の高速通信に対応しているエリアは限定的」と指摘している。
SBMにも取材したが、広報担当者は、キャリアアグリゲーションは2015年度以降だと回答した。当面はKDDIが先を行くことになる。
通信面でKDDIにとって「追い風」となる点がもうひとつ。iPhoneのLTEは従来「FDD-LTE」という方式が用いられていたが、新型モデルでは「TD-LTE」という別方式も採用された。アップルの発表には、このTD-LTEの中に「バンド41」、つまり2.5GHz帯が含まれている。国内で同帯域が使えるのはKDDIの「WiMAX2+」とSBMの「Softbank 4G」だけだ。さらにSBMの場合、iPhone6ではキャリアアグリゲーションで2.5GHzに対応しない。ここでもKDDIがリードすることになるわけだ。