木村社長「編集担当の判断に委ねた」
慰安婦問題をめぐっては、池上彰さんの紙面批評コラムを1度は掲載を見合わせたことも問題になった。杉浦氏は、自らが掲載見合わせの判断をしたことを明かし、「結果として、それは間違っていた」と述べた。
木村氏は、池上さんのコラムの内容について
「私は感想はもらしたが、編集担当の判断に委ねた」
と主張。池上氏とのやりとりの内容が外部に漏れて報じられ
「『言論の自由の封殺』という、思わぬ批判をいただいた」
とも述べた。杉浦氏が木村氏の意向を忖度した可能性については、木村氏が
「忖度したことはないと、私は認識している」
と主張。杉浦氏も同様に忖度を否定した。
9月6日に市川速水・東京本社報道局長名義で掲載された記事では、経緯について
「本社には言論による批判や評価が寄せられる一方で、関係者への人権侵害や脅迫的な行為、営業妨害的な行為などが続いていました。こうした動きの激化を懸念するあまり、池上さんの原稿にも過剰に反応してしまいました」
と説明されているが、杉浦氏はそれ以上の具体的な説明は避けた。
今後同社は、慰安婦報道については、「報道と人権委員会」とは別に社外の弁護士や歴史学者、ジャーナリストら有識者に依頼して第三者委員会を新たに立ち上げ、過去の記事の作成や訂正にいたる経緯、今回の特集紙面の妥当性、そして朝日新聞の慰安婦報道が日韓関係をはじめ国際社会に与えた影響などについて、徹底して検証するとしている。
また、新しい編集担当を中心に「信頼回復と再生のための委員会」(仮称)を立ち上げ、取材・報道上で浮かび上がった問題点を点検、検証するとしている。