多くの東電社員がその場から逃げ出したかのような印象を与えた
木村氏は、
「吉田調書を読み解く過程で、評価を誤り『命令違反で撤退』という表現を使った結果、多くの東電社員がその場から逃げ出したかのような印象を与え、間違った記事だと判断した」
と説明した上で、
「『命令違反で撤退』の表現と取り消すとともに、読者、および東電の皆様に深くお詫び申し上げる」
と述べた。「命令違反で撤退」が記事の根幹部分をなすことから、記事そのものを取り消すという。ただし、「意図的なねじ曲げ」という指摘には繰り返し反論した。
木村氏の進退については、
「朝日新聞に対する読者の信頼を大きく傷つけた危機だと重く受け止めており、私が先頭にたって、編集部門を中心とする抜本改革など、再生に向けておおよその道筋をつけ、すみやかに進退について決断する。その間は、社長報酬を全額返納する」
と述べた。「進退について決断」の意味を問われると、
「このとおりの文章で、今の段階で具体的に申し上げるのは避けるべき」
と述べるにとどめた。
「吉田調書」問題について、朝日新聞は今後も経緯の調査を続けるとしており、取材・報道の問題点や記事がもたらした影響などについて、同社の第三者機関「報道と人権委員会」(PRC)に審理を申し立てたことを明らかにした。