テニス全米オープンで日本人初の準優勝を果たした錦織圭選手の活躍に、スポンサー契約を結ぶ「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングは2014年9月9日、1億円の特別ボーナスの支払いを決めた。
その内訳は同社からが5000万円で、残りは柳井正会長兼社長個人からだ。「太っ腹!」と称える声も見られる中、気になるのは柳井会長個人からのボーナスが税制上の贈与に当たるのかということだ。
特別ボーナス総額1億円
ユニクロは錦織選手と2011年に「グローバルブランドアンバサダー」としてスポンサー契約を結び、ウェアを提供している。同じ契約のノバク・ジョコビッチ選手との準決勝は「ユニクロ対決」と注目を集めた。店頭では決勝で着用した白いウェアをはじめ、レプリカ商品の品薄が続いている。
今回の特別ボーナスは上記の契約に加え、「歴史に残る快挙へのお祝い、社員に大きな勇気を与え、ブランドイメージを高めてくれたことへの感謝、ナンバーワンを目指して一層活躍してほしいという応援」(同社コーポレート広報部・古川啓滋部長)のメッセージを込めて支払われるものだ。
特別ボーナスの支払いは同社にとって初めてで、支払い方法など詳細はまだ決まっていないという。
まれに見る大型ボーナスだけに、おせっかいながら気になるのは税金だ。1億円のうち半分は柳井会長個人から支払われるとあって、贈与税が課せられるのではないか。
税理士法人レガシィの代表社員税理士、田川嘉朗さんは今回のケースを「個人と個人の財産のやり取りなので、贈与に当たります」と指摘する。「もともと贈与税は相続税を補完するものと位置付けられています。しかし、柳井さんと錦織さんのように親族ではなくとも、今の条文では個人間の対価性のない財産のやり取りに贈与税が課せられます」。