円安なのになぜ輸出増えない 貿易赤字、最長記録を更新中

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   円安が進み、2014年9月9日には約5年11か月ぶりに1ドル=106円台をつけた。このアベノミクス最大の成果とされる円安。だが、貿易赤字は実に25か月連続という最長記録を更新中だ。

   今年上半期(1~6月)の赤字は7兆5000億円と前年同期の約1.6倍に膨らみ、7月も1兆円近い高水準が続く。様々な構造的要因が赤字を減りにくくし、また増やす要因として働いているとされ、赤字基調が続くとの見方が一般的だ。

教科書通りにならない

「教科書通り」にならないのはなぜ(画像はイメージ)
「教科書通り」にならないのはなぜ(画像はイメージ)

   財務省のまとめでは、7月の貿易収支は9639億円の赤字で、前年同月から6.6%減ったが、依然高水準。赤字が2年以上も続くのは、原発停止に伴う液化天然ガス(LNG)などなどの輸入が増加している一方、輸出は円安にもかかわらず低迷している、という両面から説明される。

   まず輸入。1~6月の輸入は前年同期比10%増の42兆6500億円と、上期として過去最高だった。LNGが前年同期比11.6%増、原粗油が同5.1%増と増えたのが目立つが、それだけではない。例えば輸出を支えてきた自動車産業でも、自動車部品の輸入が同29%も増えている。「円高を経て自動車メーカーが海外からの安い部品調達に切り替え、円安になっても元には戻らない」(シンクタンク)といい、震災前の2010年上期からは1.7倍に増えている。

   生鮮野菜も、今年上期の輸入は前年比8%増えた。日本農業の供給力が10年で5%減少し、外食産業などは国産品だけで必要な量を確保できない状況で、「中国の食肉の使用期限偽装などがあっても、海外依存の流れは変わらない」(同)とみられる。

   他方、輸出は上半期に同3.2%増の32兆500億円と、輸入の伸びを下回った。7月は5、6月の前年割れから3か月ぶりに増加に転じたものの、水準は低い。

   円安になると国内で作った製品の円建て価格は同じでも、円安の分、海外で安く売ることができるので競争力が増して数が売れるようになり、輸出が増える――という理屈だが、今回、教科書通りにならないのはなぜか。

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