「期待」が消費者をつなぐ?
2014年9月8日、内閣府は4~6月期の実質国内総生産(GDP)成長率を、前期比年率6.8%減から7.1%減へ下方修正した。8月に速報値を発表した後に、運輸や金融業を中心に設備投資のマイナスが想定よりも大きかったことがわかったためという。
また、8月の景気ウオッチャー調査(街角景気)では、足もとの景気実感を示す現状判断指数が前月比3.9ポイント低下の47.4と4か月ぶりに悪化した。
これらをみると、とても景気が回復基調にあるとは思えない。
日本経済新聞は9月7日付1面の「景気回復もたつく」でも、見出しとは裏腹に、「消費増税後の落ち込みは一時的で『景気は穏やかながら回復する』との見方が多い」と強調。さらには、家電量販店のケーズホールディングスの加藤修一会長の言葉を借りて、「『企業業績の改善と給与増でこれから景気は良くなる』と先行きに期待を寄せる」と、景気回復への「期待感」を前面の押し出し、報じた。
「景気ウオッチャー調査」などをみれば、景気回復は実感できないが、日経の報道をみると、なんとなくでも景気が回復しているように感じる。とはいえ、消費者の多くは、「景気がいいのか悪いのか、わからない」というのが本音かもしれない。
前出の第一生命経済研究所の藤代宏一氏は、「エコノミストの予想より、増税の影響が強いことは間違いありません。ただ、反発力は弱いものの、じんわりと(景気は)持ち直しているのも事実です。たとえば、中小企業DIなどの指標をみると、企業が予定していた設備投資をやめたり、消費者が必要以上に財布のひもを締めようしたりするほど、苦しんでいるとはいえません」と話す。
先行きへの期待感だけが、かろうじて消費者をつないでいるということらしい。