東京都内を中心に感染の拡大が広がるデング熱を受け、不安な人々がドラッグストアで虫よけスプレーを買いに走り、一部店舗では品薄になるほどだ。
スマートフォン向けに「蚊の嫌う高周波を発する」「蚊を寄せ付けない」などとうたう怪しげなアプリも出ているが、「虫除けアプリ買う金あんなら蚊取り線香買え」とネット上で突っ込まれている。
過去には景品表示法違反で排除命令も
スマホで「蚊」や「虫よけ」といったワードで検索すると、「アンチモスキート」「蚊取り線香」などのアプリが10以上ひっかかる。無料のタイプが多いが、中には数百円で販売しているものもあった。
そのうちのひとつをインストールしてみた。起動すると画面に蚊取り線香のイラストが表示され、蚊の嫌がる高周波を出すとの説明書きがある。スタートボタンを押すとスマホのスピーカーからキーンと頭に響く高音が発生する。いたるところに広告が大きく表示されるので、誤ってタップすると別のサイトに飛ばされてしまう。
実際、効果はあるものなのか。米ニュースサイトの「Buzzfeed」に2012年10月に掲載された記事によると、こうした高周波による虫よけに効果はないようだ。テキサスA&M大学の昆虫学者ロジャー・ゴールド教授は、「長年にわたり実施した試験によると、音波が虫を遠ざける根拠はない」と答えている。
音波を利用した虫よけをめぐり日本では2007年11月に、公正取引委員会が景品表示法違反(優良誤認)で排除命令を出したことがあった。オーム電機(東京)の携帯型電気式蚊よけ器が「超音波で蚊を寄せ付けません。血を吸うメスの蚊がきらう周波数の音波を発生し、寄せ付けません」と表示していたが、音波は発生するものの効果があると認められなかった。
同年11月21日の朝日新聞によると同製品は、
「公益法人の研究機関に依頼し、ウズラの入ったケースに50匹の蚊を入れて実験。結果、蚊よけ器の有無にかかわらずイエ蚊の約9割、ヤブ蚊の約5割がウズラを刺して血を吸った」
という実験結果だったという。