「デング熱」が猛威をふるっている。海外旅行で感染することが多いと思われていたが、代々木公園(東京・渋谷区)に訪れたという人の感染が多く、厚生労働省(厚労省)が発表した感染者数は、2014年9月8日11時時点で80人に達している。
そしてついに、最近都内を訪れていないという感染者が現れた。代々木公園周辺を避けていても感染する可能性があることがわかり、国民の不安は募る一方だ。
社会福祉施設に入所する60代男性
厚労省は14年9月9日、千葉市の社会福祉施設に入所する60代の男性がデング熱に感染していたと発表した。
この男性が感染したと思われる時期の海外渡航歴はなく、これまで感染場所の可能性が疑われている、代々木公園、新宿中央公園(東京・新宿区)、明治神宮外苑(東京・新宿区、港区)、外濠公園(東京・千代田区)はもちろん都内にも訪れていなかった。都外でのデング熱感染は初となる。
男性は8月31日に発熱、倦怠感、食欲不振が確認され、9月2日に入院した。9月8日に血液検査の結果が出て、デング熱に感染していることが確定した。現在も入院しているが容体は安定しているといい、ほかの入所者の感染は確認されていないそうだ。
施設周辺で感染した可能性があり、厚労省が感染ルートを調べ、国立感染症研究所がウイルスを解析している。
都には1600件超える相談が
訪れた人の多くが感染している代々木公園では、立ち入り禁止措置やイベントの中止、イベントを開催する場合にも主催者が虫よけスプレーなどを用意して行うといった対策を講じてきた。新宿中央公園では一部入園規制、外濠公園と明治神宮外苑では蚊の駆除作業を行ったほか、代々木公園から約1キロ離れた新宿御苑(東京・新宿区、渋谷区)も念のため閉鎖し蚊の捕獲調査を行っている。
都心では熱心な対策が取られているが、今回いわば「ノーマーク」の土地で感染者が発生してしまった。ネット上では、「とうとう千葉まで広がってしまったのか」「日本全国どこでもデング熱に感染する可能性がある」「もうこれコンビニ行くにも虫除けスプレーな感じ?」といった声が上がっている。
都が8月28日に設置した相談電話(03-5320-4179)には、9月8日までで1665件もの相談が寄せられ、不安の高まりを感じさせる。