飲食店が無許可で中継流しても「把握しきれない」
法律では、配信コンテンツが有料か無料かを問わず、放送事業者の許可なしによる大型スクリーンでのパブリックビューイング自体を規制している。仮に地上波で全米オープン決勝の放送が予定されていたとしても、局側の了解をとらねばならないわけだ。
しかも國安弁護士は、「たとえ非営利目的で、かつ無料で行う放送であっても、放送事業者の許諾を得ないで行うパブリックビューイング等は、違法となる」と説明している。近所の人たちや友人家族を集めて、自宅でテレビを囲んで番組を楽しむのは構わない。ところが、「スポーツ中継を流す装置」がテレビでない別の巨大ディスプレーに変わると、同じ状況でも話が違ってくる。
錦織選手の試合のパブリックビューイング実施についてWOWOW広報に電話取材すると、これまでに許諾を求めてきた団体などはないそうだ。法的には、会社で応援するために、会議室にある大型テレビをみんなで視聴するのであればセーフ。だが、数百人単位で人が集まって大型スクリーンを使ってテニスの生中継を流すとしたら、「非営利目的であっても、よくはありません」と指摘する。基本的には、契約者の家庭でテレビを通じて番組を楽しんでもらう想定なのだ。
同じく、スポーツバーなどで営利目的にパブリックビューイングを行うのは歓迎しない。「ただ、どの飲食店で実施されているかは把握しきれないので……」と、少し困った様子だった。