江川紹子さんや現役記者も首かしげる
今回の「説明」では、掲載中止の流れについて詳述しており、映画作家の想田和弘さんのように、「経緯の説明は充分ではないが、僕はかなり率直で真摯な文章だと思った」と一定の評価をする向きも皆無ではない。
しかし、たとえば池上さんの原稿に「過剰に反応」した主体は誰だったのか、求めた「修整」の内容はどのようなものだったのか、など、肝心のディテールが明らかになっていない、との指摘が多勢を占める。
ジャーナリストの江川紹子さんは「説明になっていない」と、ツイッターで手厳しく論評している。
「『過剰に反応』したのは分かるが、原稿のどこを問題視したのか、誰の判断だったのか、などの言及なし。朝日新聞は、危機管理の優れた専門家にアドバイスを受けた方がいい」
またジャーナリストの菊池雅志さんもやはりツイッターで、今回の「説明」に朝日新聞の「被害者」意識が見えると指摘する。
「朝日新聞は『慰安婦問題で我々は右派勢力から不当な攻撃を受けている被害者である』という認識なんだろうか。先週の田原総一朗氏の記事(編注:BLOGOSに8月27日掲載のインタビュー)もそういうノリだったが、あそこら辺が朝日の本音だとすると、なかなか遠い道のりである……」
今回の問題では、朝日新聞の現役記者がツイッターを通じて自社批判の声を上げたことが話題となった。今回の「説明」にも、東京社会部東京総局の原田朱美さんが、
「私は(1)言い訳がましい、(2)元は自社の誤報が原因なのにあたかも朝日を攻撃する人のせいでこうなったと責任転嫁している(3)誰が掲載をやめろと指示したのかわからない、という点でおかしいと思います」
と3点を挙げて批判。安芸支局長の根岸敦生さんも「1記者として、の意見」と断ったうえで、「実際に拝見した記事の内容と今回の『掲載見送り』を決めた判断基準の落差が、いまだに分かりにくいです。続報を待ちたい」とコメントした。