10月以降は運賃を大幅に引き上げる予定
エアバスはスカイマークから払い込み済みの前払い金260億円の返還にも応じない姿勢で、前払い金を資産に計上しているスカイマークは今年度中に損失処理を迫られる。
同社は引き続きエアバスと違約金の減額交渉を続け、9月中に決着させる方針だが、エアバスの態度は頑なで、協議が不調に終われば訴訟に発展することが考えられる。スカイマークは10月末から成田空港発着の札幌(新千歳)、米子、那覇の各路線を運休し成田からは完全撤退するなど不採算路線の廃止し、当面の出血を抑えることを決めた。これまでは大手とLCCの運賃の中間の価格帯で客を呼び込む「ミドルコストキャリア」として一定の存在感を維持してきたが、10月以降は運賃を大幅に引き上げる予定で、客離れにつながらないか危ぶむ声もある。
同社の先行きが危ぶまれている理由には、これまで経営資金を資本市場から調達し、頼れるメインバンクが存在しないこともある。創業からの大株主である旅行大手エイチ・アイ・エス(HIS)は今回の問題発覚前に株式の一部を売却していたことが判明しており、支援の意向は薄いとみられている。
スカイマークは今も公式には独立経営を維持していくと説明しているが、今後は水面下で20%未満の出資比率で資金支援に応じてくれるスポンサー企業を探すことになりそう。日本の大手のほか、米航空大手などの外資系、海外のLCC、国内インターネット系旅行代理店などの名前が取りざたされているが、「エアバスとの違約金交渉が決着しない限り恐くて手が出せないだろう」(大手金融機関幹部)という見方が支配的だ。