日本が中国を直接訴えた初めての案件
中国は「環境や天然資源保護のため」と、協定の例外規定の適用を訴えたが、最終報告書は中国の措置を「国内産業を恣意的に優遇する政策」と断定。「環境や天然資源保護のためなら、(WTOが認めている)国内生産を制限する代替措置をとるべきだ」と判断した。
このニュース、WTOで日本が中国を直接訴えた初めての案件で、大いに騒がれていいところだが、各マスコミの報道も比較的地味だ。というのも、中国の輸出制限に対し、日本はレアアースの再利用や他素材の開発に力を入れ、成果を上げてきているからだ。
例えば、双日などが豪州の資源会社とレアアースの長期供給契約を締結、カザフスタンでは住友商事などのレアアース精製工場が完成。インド政府は、対日輸出を正式承認。日本の排他的経済水域(EEZ)内の南鳥島沖などで有望鉱床が発見され、資源化計画が進む。自動車産業では、リサイクルやレアアースを使わないモーターの開発が進行し、最近も、大同特殊鋼がジスプロシウムを使わない高性能磁石を開発してHV車向けとして実用化を目指すといったニュース(2014年3月)が頻繁に流れる。
この結果、レアアースの国際価格は全般に下落傾向が続く一方、日本の輸入量は2010年の2.8万トンから2013年には1.4万トンへと半減している。