2014年9月3日、中国で初めて制定された「抗日戦争勝利記念日」に合わせ、献花式典などの記念行事が各地で開催された。
習近平国家主席は日本の侵略を厳しく批判する一方、「政府と人民は中日関係の発展に尽力する」と語った。これまでの批判一辺倒から、関係改善に向けて含みを持たせた格好だ。
歴史認識でけん制しつつ関係改善に含み
抗日戦争勝利記念日は、日本が降伏文書に調印したことを受けて中国で9月3日から休暇が取られたことに由来する。今年2月、初めて国家の公式記念日として制定された。
北京郊外の中国人民抗日戦争記念館で献花式典が開かれ、共産党の最高指導部である中央政治局常務委員7人全員が参加。黙とうと献花を行った。
人民日報や新華社通信、環球時報など主要メディアは、式典の様子や習氏らが日本を批判する発言を盛んに報じた。さらに各ニュースサイトで特集記事を組み、日本の侵略行為を喧伝。環球時報は社説で中国がアジア最強の国家となったと自賛し、「中国が強く、日本が弱いことがアジアの平和と安定をもたらす」と挑発した。
メディアが強硬な論調を展開する一方、指導部からは関係改善に向けたシグナルも垣間見ることができる。
北京の人民大会堂で党中央委員や国務院、軍事委員らが参加した座談会が行われた。そこで習氏は「日本の軍国主義による侵略が中国とアジアの人々に悲惨な出来事をもたらした」と非難する一方、「軍国主義による侵略の歴史を深く反省することが、中日関係の発展をもたらす政治的な基礎だ」と発言。歴史認識についてけん制しつつも、今後の関係改善に含みを持たせた格好だ。
さらに「中日関係の発展に尽力する」とも語った。13年末に安倍晋三首相が靖国神社に参拝して以来、両国の関係改善について言及したのは初めてだ。
また、献花式典では演説を行わなかった。大きな式典で演説を行わないのは異例で、7月7日に盧溝橋事件から77年を記念した式典で「侵略の歴史を美化することは許さない」と日本を批判したのとは大きく異なる。