朝日新聞「幹部級」も自社批判ツイート続々 池上コラム問題で「9月革命」が起きたのか

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   一度は朝日新聞に掲載を拒否された池上彰さんのコラムが一転、2014年9月4日朝刊紙面で掲載されたのは、社内外の激しい批判が一因だった。朝日新聞では記者によるツイッターの活用を進めており、ツイッターを通じて社内からの批判も可視化された。一連の自社批判には、末端の若手記者にとどまらず、編集委員などスター記者、さらには管理職など「幹部級」記者にも広がり、その数はあっという間に数十人に膨れ上がった。

   記者たちは、結果的にコラムが掲載されたことには安堵しながらも、コラムを実際に読んでみて「『この内容では掲載できません』の理由がますます分からない」などと当初の決定を改めて批判する声も多い。当初の掲載拒否の判断は木村伊量(ただかず)社長を頂点とする首脳陣が主導したとみられており、社内では「木村体制」への批判が高まっているともみられる。帝政ロシアが倒れた「10月革命」になぞらえて「9月革命」の可能性も指摘されはじめた。

社内の統制が取れていないので「情報が漏れ、現場が声を上げる」

池上コラム「一時不掲載」は木村伊量社長をはじめとする首脳陣が主導したとみられている
池上コラム「一時不掲載」は木村伊量社長をはじめとする首脳陣が主導したとみられている

   2014年9月3日夕方にコラム掲載が決まってからも、当初の決定を批判する声は朝日社内でやまなかった。尾形聡彦・国際報道部デスクは

「池上さんのコラムの掲載を見合わせていたことは、朝日新聞として間違った判断だったと思います。今日、社内で多くの議論があり、私を含め大勢の記者たちが『即日掲載すべきだ』と意見しました。そうした議論を踏まえ、掲載が決まりました。読者のみなさんや池上さんに本当に申し訳なく思います」

とツイート。社内の声が掲載を後押ししたことを明かした。北野隆一・編集委員は、一連の経緯を

「今回、結果的に社内の議論がオープンになったのは決して悪いことではなかった。でも、そもそも新聞は載せた記事の中身が話題になるべきで、新聞社の内幕が話題になるのはちょっと恥ずかしい」

と振り返った。複数いる朝刊編集長のひとり、沢村亙(わたる)氏は、社内の統制がとれない体質が、災い転じて福となしたとみているようだ。

「うちの会社も官僚的な体質があるが、主筆とか社長とかトップの鶴のひと声で軍隊のように一糸乱れずに動くこともできない。だからこそ情報が漏れ、現場が声を上げる。つくづく危機管理には向かない組織と思うが、これはこれでいい、と思う」
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