豪紙「福島の『ヒーロー』、実は恐怖で逃げ出していた」
同紙の英字紙「ジャパンニュース」では、この「誤解が広がっている」様子を詳しく報じている。9月1日の1面トップでは「原発『撤退』、世界に誤報される」という見出しを掲げて、朝日新聞の報道を根拠にした国外の報道を紹介している。その内容は
「パニックになった作業員が命令に反して原発を逃げ出したことが、記録で明らかに」(米ニューヨーク・タイムズ)
「サムライ精神の英雄的見本とはほど遠く、福島原発の作業員の9割が逃げ出し、被災したプラントに残るという命令に従わなかった」(英タイムズ)
「福島の『ヒーロー』、実は恐怖で逃げ出していた」(オーストラリア、オーストラリアン)
といったもの。記事では、韓国の国民日報がセウォル号事故を引き合いに朝日記事を引用していたことも指摘している。セウォル号は船長をはじめとする乗組員が真っ先に脱出したことが問題視されている。原発作業員をセウォル号乗組員になぞらえているわけだ。
共同通信も8月31日、吉田調書について、
「吉田氏は聴取に、命令違反があったとの認識は示していない」
と報じている。共同記事では、福島第1原発の免震棟内の緊急時対策本部で総務班長を務めた男性社員(46)が
「第2原発に退避することは 前夜のうちに決まっていた。吉田所長も理解していた」
「『命令違反』と書かれているが、 それはいったい何だという感じです」
とも指摘。朝日記事への不快感を示している。