埼玉県で盲導犬が何者かによって刺された事件について、一部で「盲導犬は悲鳴すらあげないように訓練されている」と伝えられた。
これに対して、全日本盲導犬使用者の会(全犬使会)や関西盲導犬協会などが否定する声明を出して正しい理解を求めている。ただ、盲導犬に対する虐待は日常的に行われており、「周囲の目」が必要なのは間違いない。
「そのような訓練は現在行われていません」
さいたま市の全盲の男性(61)が連れていた盲導犬のラブラドールレトリバー「オスカー」が2014年7月28日、何者かによってフォークのようなもので刺されたと見られている。男性は川口市の職場に到着すると、同僚がオスカーの腰のあたりから出血しているのを発見した。オスカーは負傷したときに声を上げなかったので、男性は同僚に指摘されるまで気づかなかった。
事件の報道で「盲導犬は何があっても声をあげないように訓練されている」などと伝えられたが、これを受けて全犬使会は8月30日に声明を発表した。盲導犬の利用者に対して「抑圧されて働かされる盲導犬はかわいそう」という言葉が街中で浴びせられるといい、
「実際にはそのような訓練は現在行われていません。もしもそのような訓練がなされているとするならば それは虐待と捕らえられても いたしかたないことです」
と反論した。
また関西盲導犬協会でも、
「盲導犬でも驚いた時に思わず一声吠えることもありますし、痛みを感じた時には悲鳴もあげます。犬としての自然体でいながら、盲導犬としての作業を楽しめる、そういう犬を選んで盲導犬としております」
としている。