「週休4日で月収15万円」という仕事を紹介する異色のサービスが、2014年9月からスタートする。対象は新卒の学生から25歳くらいまでの「未来志向の若者」という。
何やらわかりにくいサービスだが、狙っているのは芸術家やプロスポーツ選手、起業家など、自らの夢を実現しようと努力している若者たちで、彼らを支援しようという実験的な試みだ。
働きながら「やりたいこと」を見つける
「週休4日」とは「実働3日」を意味しており、週3日の労働で月収15万円を保証することで、残る週4日は自分の夢の実現に向け有意義に使ってもらおうというわけだ。
このサービスは、人材派遣・紹介のベンチャー企業「ビースタイル」が企画した「ゆるい就職」で、9月2日から説明会を開始する。同様のサービスは国内で前例がなく、業界初という。
米国をはじめとする主要先進国では「20代は人生観や職業観を模索するためのモラトリアム期間」とされ、あえて寄り道や遠回りをすることが社会的に推奨されている。ところが日本では大学卒業とともに、週5日フルタイムの正社員として働くのが主流となっている。しかし、芸術家やプロスポーツ選手、起業家などを目指す若者にとっては、新卒とともに希望の職業に就ける保証はなく、当面はアルバイトで生計を立てながら、自らの夢を追いかけるしかないのが現実だ。
そこでビースタイルは「週の半分以下の就労で生活に必要な所得を確保し、生きがいや働きがいのある『自分が本当にやりたい仕事』を見つける場を提供したい」と、ユニークなサービスを考えた。
有名大学の学生が応募
気になるのは、実働3日の仕事だが、具体的にはIT企業、ベンチャー企業など中小のオフィスワークが中心という。これらの中小企業の中には「スキルや能力があれば週3日でも採用したい」と考えているところが多いという。もちろん契約社員やアルバイトとして働くことになるが、その仕事が気に入れば、将来的に正社員を目指す道もあるという。
ビースタイルによると、9月2日スタートの説明会は当初予定の定員80人に対して約360人の応募があり、人気は上々という。平均年齢は23.5歳で男女比は男性67%、女性33%。新卒が60%、既卒は40%という。大学別には東大・京大・一橋大など国公立が10.8%、早慶・上智・ICUが10.1%、MARCH(明治・青山学院・立教・中央・法政)が14.2%を占める。「比較的有名な大学の若者が多く集まっており、芸術や音楽活動をしている者、バックパッカーとして世界を放浪した経験がある者、起業準備中、アイドル見習い、元研究者など多様な若者が集まっている」という。
「ゆるい就職」は説明会を経て、マッチングが成立すれば11月ごろから働くことになるという。果たして数年後、このサービスを利用して働いた若者の間から、芸術家やプロスポーツ選手、起業家などクリエイティブな人材が生まれるのか、今から楽しみだ。