「『大事な存在』と言っちゃだめと弁護側から言われていたはず」
判決では執行猶予が付く、というのが一般的な見方だが、専門家らは今回の公判によって猶予期間中に「保護観察」が付く可能性が高まったとみている。
元東京地検検事の田中喜代重弁護士は29日放送の情報番組「モーニングバード!」(テレビ朝日系)に出演。懲役3年という求刑に「重たいですね」と話した上で、裁判所は4~5年の執行猶予をつけるだけでなく、保護観察をつける可能性を予想した。
保護観察は、執行猶予になった犯罪者らに対して保護司が定期的に面会して更生するよう指導することを指し、家族など身近な人が監督できない場合などにとられる施策だ。
田中弁護士は「法廷を見る限り、保護観察が付く可能性が大きく出てきてしまった」と指摘した。
そもそも検察側の質問で栩内被告について聞かれることは100%分かっており、弁護士との打合せも十分してきているはずだという。にもかかわらず、ASKA被告が「大事な存在」といった発言をしたことについては、
「それは言っちゃだめだと言われているはず。栩内被告については『交際しません、手を切ります』とか。『家族のもとに戻って家族の監督のもと、自分はしっかりやっていきます』と言えって絶対言われているはずですよ」
と推測した。
その上で、
「覚せい剤をやめるには自分の強い意志とサポートしてくれる人の存在が必ず必要であり、その一番近い存在であるはずなのが妻。だが、信頼関係がなければうまくいかない」
とし、今回の法廷によって妻が監督するのは難しいとみられたのではないかと分析する。
保護観察も決められた約束事を守りながら、家庭で生活して更生を図るケースがほとんどだ。家庭での生活が難しいとすると、保護観察もダメという最悪ケースも考えられなくはない。
「今までは執行猶予が付くかつかないかの話だったのが、今度は(法廷によって)保護観察が付くかつかないかまで来て、実刑の可能性も微妙に出てきている」と話した。
東京地検特捜部元副部長・若狭勝弁護士も複数のスポーツ紙上で保護観察の可能性が高まったと指摘している。妻など身近な人が裁判官に被告人を監督することを直接約束することが大事であり、書面だけでは弱いという。また、栩内被告についての証言も「妻の気持ちが引いてしまうと想像すれば、この証言も保護観察付きに傾くと思う」としていた。
ASKA被告の判決は9月12日の14時に言い渡される。