夏休みの宿題代行サービスが話題だ。インターネットで「宿題代行」と検索すると多くの業者が存在していることが分かる。
子どもにとっては夢のようなサービスかもしれないが、教育評論家の尾木ママが「教育犯罪そのものです」と厳しく指摘するなど、批判的な声が広がっている。
今夏だけで70件依頼があった業者も
宿題代行を名乗る業者のホームページを見ると、「『宿題が提出期限に間に合わない!』『宿題で良い点を取りたい!』など…そんな悩みを我々が解決します!」といった、子どもたちには魅力的な文言が並ぶ。
サービス内容は漢字・算数ドリルから読書感想文、絵、自由研究まで、教科のジャンルは問わない。料金はドリル1冊で3500円から1万2000円など業者によって差があり、相場は分かりにくい。
数も多いことから、業者ごとに特色を出そうとしているようだ。ある業者のホームページを見ると、作文代行サービスの説明に「学生のアルバイトではありません。作文添削のプロが担当いたします」と書いている。プロが担当するだけあって、400字詰め原稿用紙1枚で小学生向け5000円、中学生6000円、高校生8000円と決して安くない。別の業者は「ほかの業者、サイトの方が安い!という時は値下げいたします!!」と商魂たくましくアピールしている。
TBS系の朝の情報番組「いっぷく!」(2014年8月25日放送)には受験総合アドバイザーという肩書で宿題代行業をしている男性が登場した。ドリル1冊5000円、読書感想文1枚3000円、自由研究・工作5000円という仕事ぶりを伝えた。
男性は仕事上の注意点として、「間違えそうなところっていうのは分かるので」と話し、わざと何か所か間違えながら問題集を解いていく。男性によると、今夏だけで約70件の依頼があったそうだ。依頼主は「病気で手が付けられない場合や受験で忙しくて宿題に手が回らない人」だという。
尾木ママ「子どもの学力を奪い誤魔化すことに」と危惧
こうした実態に激怒しているのが、「尾木ママ」こと教育評論家の尾木直樹・法政大教授だ。「子どもたちに対しては『教育犯罪』そのものです!!」と強い口調で27日のブログに書いた。
「子どもに詐欺の正当性を教え、お金でなんでもできるという歪んだ価値観を教えることになります。子どもの学力を奪い誤魔化すことになりますね」と語る。「親も親ですね…」と依頼する親たちにもあきれている。
また、宿題代行サービスに従事している大学生には、「このような『教育詐欺』への加担からすぐに撤退してください!」と訴えた。「読書感想文の原稿用紙1枚が、どうして中3で、5500円もするのですか!?四~五枚代筆すれば、それだけで三万円近く!これは大学教授の水準をはるかに超えた暴利ですよ」として、「勇気を奮って撤退してくださいね…尾木ママ、信じていますよ」と締めくくった。
尾木ママの指摘には、
「業者を頼り丸投げして子供は一体何を学ぶんでしょうね」
「代行してやってもらったことは、子供の身になーんにもつかないですよね」 「お金使う前に頭使って欲しいです」
と賛同する声が多い。