2014年8月27日に理化学研究所が発表したSTAP細胞検証実験の中間報告では、現時点ではSTAP現象を示す兆候が確認できていないことが明らかになった。STAP現象再現までに超えるべきハードルはさらにいくつかあり、論文に記述された方法では再現できないことが判明したといってもおかしくない内容だ。
今回の中間報告には、カギをにぎる小保方晴子ユニットリーダーの実験内容は含まれていない。小保方氏は中間報告を準備したチームとは別に検証実験を進めているが、まだ「予備実験」の段階。この「予備実験」の内容は一切明らかにされず、STAP現象再現の手がかりは見えないままだ。
遺伝子が万能性を示すような光り方が確認できなかった
検証実験は4月に始まったが、4か月間の成果は皆無だった。STAP現象は、大まかに(1)マウスの脾臓(ひぞう)から細胞を取り出す(2)弱酸性の溶液に浸して細胞を刺激する(3)遺伝子が緑色に光り、万能性の兆候を示す(4)細胞を受精卵に入れてあらゆる組織に変化し万能性が示される、という4つのプロセスを経るとされている。
取り下げられたSTAP論文の共著者でもあった丹羽仁史プロジェクトリーダーによると、検証実験ではSTAP論文に記載された一連の手順を22回にわたって行った。だが、(3)の段階で遺伝子が万能性を示すような光り方は確認できなかった。STAP現象の再現には(3)に加えて(4)も成功させる必要がある。
今後はマウスや取り出す臓器の種類、細胞を刺激する方法を変えるなどして実験は継続する方針で、検証実験の総括責任者を務める発生・再生科学総合研究センター(CDB)特別顧問の相澤慎一氏は、会見冒頭
「検証実験のほとんどは検討途中であり、皆様にご報告する段階に至っていない」
「最終結論がどのようなものであるか、現在、判断できない。大半の検討中の課題については、この場でご報告できないことをご了承ください」
と「この場ではご報告できない」ことが多いことを強調した。