大阪桐蔭が優勝した夏の全国高校野球選手権の興奮が冷めやらぬ中、産経新聞のコラムが一部で注目されている。過密日程を解消して球児の負担を減らすため、「甲子園での単独開催をやめればいい」というのだ。
ただ、球児は誰もが「甲子園でやりたい」といい、現実性はないようだ。
複数球場の使用で過密日程を解消
夏の炎天下で連戦が続くことはこれまでも議論の的となっていた。2013年「春のセンバツ」では済美のエース・安楽智大投手が決勝までの5試合で772球を投げ、アメリカのCBSスポーツが「正気の沙汰とは思えない」と厳しく指摘するなど、大きな話題となった。
渦中のコラムは論説副委員長・別府育郎記者によるもので、「私見」と断りつつも、産経新聞(2014年8月26日ウェブ版)に掲載された。選手の負担軽減を訴え、「過密日程の解消なら規則を変えなくてもできる。甲子園の単独開催をやめればいい」と主張。ほかの球場の活用を訴えた。
来春にも導入される可能性のある、球数制限やタイブレーク制の導入については「競技の根幹である規則は、安易にいじるべきではない」と否定的だ。ベスト8までは首都圏の複数球場を使う高校サッカーを例に挙げて、「複数球場を使用すれば選手に過重負担を強いない日程調整はできる」というのだ。
また、春夏の大会を主催する毎日新聞や朝日新聞が紙面上で球児の体を気づかったことに触れ、「主催者も放送局もおそらく甲子園の単独開催は譲らない。大人の都合に口をつぐんだまま球児の体の心配をしてみせるのは何だかな、と思う」と皮肉った。
このコラムが掲載されると、ネットでは「なんで今まで放置しているのかさっぱり分からない。涼しく大阪ドームでもいいのに」「勝ち進むピッチャーは確かに残酷ショーを見てるようだな」と賛成意見がある一方、「選手は甲子園で試合したいだろう」「甲子園でやらない甲子園なんて価値無いだろ」と反対意見もあった。