産経新聞「遅すぎると言わざるを得ない」
多くの行方不明者が出た災害で氏名が公表された例は、たとえば2013年10月の東京都大島町の伊豆大島で発生した土石流災害がある。報道によれば、この時は安否が分からない不明者の名前が役場などに張り出された。だが、こうした例は近年の災害全体で見れば少ない。
そのためインターネット上では、広島市の対応に「公表して正解だと思う。身寄りのない人以外は何とかして無事を連絡するはずだよね」と評価の声が上がっているほか、「確かに難しい判断だよなあ」とすぐに公表に踏み切れなかったことに理解を示す声もある。
だが同時に、「何を躊躇されたのか、このような非常時に。明確に情報を知るには、氏名公表しか手はないでしょう」などと公表の遅れを問題視する声も目立つ。
産経新聞は26日付の「主張」欄で
「大規模災害では、被災状況や被災者数などの情報収集を急ぐ必要もある。その点で、発生から6日目の25日になって広島市が行方不明者の氏名を公表したのは、遅すぎると言わざるを得ない。捜索活動と人命救助に最善を尽くすためにも、不明者の特定は不可欠だ。プライバシーへの配慮などが氏名公表を遅らせた要因だとしたら、本末転倒も甚だしい」
と公表の遅れを強く批判した。
県警や自衛隊、消防は約3300人態勢で懸命の捜索を続けている。26日18時現在の報道によると、新たに3人の死亡が確認されて死者は63人になった。行方不明者は25人で、15時時点では664世帯1478人が避難所に身を寄せているという。