大槌町に秋祭りの到来を告げる吉里吉里祭りが8月24日に開催されました。犠牲者の鎮魂と復興への祈りを託した神輿が町内を練り歩き、地元の郷土芸能の団体が行列に加わって祭りを盛り上げました。9月20、21の両日には大槌祭りが開催されます。
祭りは8月23日夜の「宵宮(よいみや)祭」で、鹿子踊(ししおどり)、大神楽(だいかぐら)、虎舞(とらまい)が天照御祖(あまてらすみおや)神社の境内で演舞し、神社に舞を奉納しました。杉木立に囲まれた境内には大勢の見物客が集まり、勇壮、華麗な舞いに拍手を送りました。
24日の「神幸(しんこう)祭」では、神輿が神社から午前8時半に繰り出し、「オーヨ」「オーヨ」という威勢のいい掛け声を響かせながら吉里吉里海岸に向かいました。海岸の砂浜で、震災犠牲者の慰霊と鎮魂のために大祓(おおはらえ)式が執り行われました。その後、神輿は吉里吉里地区内を練り歩き、鹿子踊、大神楽、虎舞が神輿をはさみ、長い行列ができました。
神輿は4カ所の御旅所(おたびしょ)で休憩し、そのたびに鹿子踊、大神楽、虎舞が舞って、沿道に集まった人たちの目を楽しませました。
神輿が神社に戻ってきたのは午後1時ごろ。参道前で走り回り、鹿子踊、大神楽、虎舞がはやし立てました。
神輿渡御は震災の翌年に復活しました。今年は、盛り土工事が進む中、通行止めの道路が多く、順路が変更されました。吉里吉里祭りが終わると、大槌は秋の気配が日一日と色濃くなっていきます。
大槌町では震災後、祭りは特別な意味を持っているように感じます。演じる人も見る人も、復興に向けて心を一つにする場になっているのです。故郷を出た人も、祭りを楽しみに戻ってきて祭りに加わったり、見物したりします。祭りが健在である限り、大槌は真の復興を成し遂げることができるでしょう。
(大槌町総合政策課・但木汎)
連載【岩手・大槌町から】
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