安倍晋三首相(59)の暗殺を企て、狙撃に成功するという小説が韓国で大人気になっている。日本の初代内閣総理大臣・伊藤博文を暗殺し、韓国では英雄視されている安重根が現代に蘇り、当時と同じ10月26日に中国ハルビン駅で安倍首相を狙うというものだ。
韓国の読者はこの本で歴史が明白になったと感激しているそうだ。特に喝采を浴びているのは、安が法廷で語る安倍首相暗殺を企てた理由で、従軍慰安婦問題、竹島問題など「日本の嘘」を暴くシーンだ。「安倍の妄言を潰すのに十分」「安倍は本当にクソ野郎だった」などと、現代と当時をないまぜにしながら騒いでいる。
安倍首相は恐怖に怯え「私は関係がない」と逃げる
この本は「安重根、安倍を撃つ」という原稿用紙1300枚にわたる長編小説。1部、2部が歴史的事実に基づいたという安の伝記。3部はフィクションで安が蘇って安倍首相の暗殺を企てるという構成になっている。
作者は小説「父のいた日々」などで知られる有名小説家のキム・ジョンヒョン氏(57)。朝鮮日報などの韓国メディアによれば、キム氏は2014年8月4日に行われた出版記念記者懇談会で、
「反省はおろか、靖国神社参拝などふてぶてしい態度を取る日本に対し、警告ではなく反省のチャンスを与えるために書いた」
などと説明した。さらに、「日本と和解すべき」という意見が一部にはあるが、それは間違った考えで、日本に反省がない中で韓国が頭を下げる必要はないし、仮に政府が和解という外交判断をしたとしても、我々民間まで日本批判の口を閉ざす必要はないと思う、などと語ったという。
第3部では、中国のハルビンに向かう超高速の特別列車「和諧731号」に乗っている安倍首相の前に安が現れ、「日本の蛮行を反省しろ!」と詰め寄る。安倍首相は幻影を見ているのかと恐怖に震え、
「私はやってない。私と何の関係があるのか」
などと見苦しい言い逃れをする。そして数時間後、安倍首相がハルビン駅に降り立った直後に3発の銃声が轟く。首相は撃たれ、安重根の声がハルビン駅に響き渡る、といったものだ。実はこのシーンがクライマックスではない。安倍首相は一命を取り留め、逮捕された安が裁判にかけられるシーンが最も重要な部分になっている。