マリノスの素早いサポーター処分、ファン評価 「バナナ振るのはマズイでしょ」「浦和の教訓、生かされた」

全国の工務店を掲載し、最も多くの地域密着型工務店を紹介しています

   サッカーJリーグ「横浜F・マリノス」と「川崎フロンターレ」の試合中、マリノスサポーターがフロンターレの外国人選手にバナナを振りかざす人種差別的行為があった。

   マリノス側はただちに事実関係を確認し、公式サイトで当該サポーターを無期限入場禁止にするという処分内容を発表した。試合終了からわずか数時間以内という素早い対応だった。

欧米では「バナナ」で黒人選手差別が横行

試合開始前にフラッグを掲げる横浜F・マリノスサポーター(23日撮影)
試合開始前にフラッグを掲げる横浜F・マリノスサポーター(23日撮影)

   2014年8月23日夜、「ニッパツ三ツ沢球技場」(横浜市)には大勢のマリノスサポーターが詰めかけた。神奈川ダービーマッチということもあり、スタジアムは熱気に満ち、試合前にはマリノスのチームカラーであるトリコロールの旗がゴール裏からバックスタンド全体を埋め尽くした。

   マリノスは前半2分でPKを獲得。FWラフィーニャ選手が先制点を決め、勢いに乗った。前半35分にはフロンターレのDF登里享平選手が退場して優位に立ち、マリノスの1点リードのまま前半終了に向かっていた。

   そうした中、インターネット上にはテレビで試合を見守っていた人たちからある指摘が上がり始めた。前半41分ごろ、中継カメラが偶然にもマリノスサポーターの問題行為をとらえられていたのだ。カメラがフロンターレのFWレナト選手を追っている間、観客席から選手の方にバナナを振りかざすマリノスサポーターが映り込んでいた。

   欧州のリーグでは、黒人選手に対してサルの好物「バナナ」を投げ入れる差別的な行為が相次いでいる。今年4月にはスペイン・バルセロナの黒人選手が投げこまれたバナナを食べてプレーを続行したことが反響を呼び、その後、世界的な人種差別撲滅キャンペーンに発展した。

   レナト選手は黒人のブラジル人選手だ。ネット上の一部からは、フロンターレはスポンサーの「ドール」とコラボしたバナナ商品を販売するなど「バナナに縁がある」チームだということを指摘する声もあるが、大半が

「これマズイでしょ」
「人間性を疑います。レナトがショック受けてないといいです」
「最悪。差別がどんだけヤバいことか知らない無知」

などとサポーターを批判するものだった。該当シーンを切り取った動画も拡散し、これがほどなくしてマリノス関係者の耳にも届いた。

対応の鈍さ非難された「レッズ」を反面教師に?

   すると、マリノスは素早い対応をみせた。報道によれば、クラブ側はサポーターを特定して試合後に事情確認を行った。サポーターは10代の男性で、挑発行為については認めたものの、「差別の意図はなく、特定の選手に向けたものではかった」と話したという。

   それでも嘉悦朗社長は「客観的に見て可能性は高い」「人種差別が限りなく疑わしい」などと話したといい、試合終了からわずか数時間後には、公式サイトに「川崎フロンターレ戦における挑発行為と処分について」と題した文書が掲載され、該当サポーターの無期限入場禁止処分が発表された。

   この対応にマリノス、フロンターレ両チームをはじめとするJリーグファンからは称賛の声が数多く寄せられた。その背景には、今年3月に埼玉スタジアムで起きた「浦和レッズ」サポーターによる差別的な横断幕の一件がある。

   スタジアムの観客席入口ゲートに「日本人以外お断り」という意味にも受け取れる「JAPANESE ONLY」と書かれた横断幕が掲げられていた問題で、クラブ側はこれに気付いていながら試合終了まで撤去しなかった。対応の遅さや認識の甘さが問題視され、レッズは無観客試合という最も重い処分を受けることとなった。

   このことから、Jリーグファンからは「レッズの受けたダメージを見れば当たり前の対応」と冷静な声もあるが、

「社長が素早い判断をした様で何より」
「身内をかばわない、しっかり断罪する、ってのは実はすごく難しいことだからマリノスのフロントはよくやったと思う」
「浦和の時の教訓が活かされているということ。こうやってサッカー界全体で自浄して、一歩ずつ進んでいくしかない」
「素直に非を認め、迅速だったマリノスはレッズと比べ優れた対応だったと思います」

といった高評価がいくつも寄せられている。

   なお再発防止を含む今後の対応については、Jリーグと協議するという。

姉妹サイト