「オタクだけが喜ぶ声はいらない」「若手声優は流行に汚染されている」―――
大ヒットアニメシリーズ 「機動戦士ガンダム」の生みの親で日本アニメ界の巨匠、富野由悠季監督(73)のそんな発言が、「声豚」とも呼ばれる声優オタクらの激しい反発を呼び、「黙れジジイ!!」「誰だ?このハゲ!!」と過激な言葉がネットで飛び交う事態になっている。
富野監督は、実に15年ぶりとなるガンダムの新作テレビアニメ「ガンダム Gのレコンギスタ」の総監督を務めていて、アニメの将来像や、声優の演技は本来どうあるべきなのかなどについて語った。
汚染された若手声優に「地声でやれ!」と指導
富野監督のロングインタビューが掲載されたのは雑誌「DVD&ブルーレイでーた」の2014年9月号の別冊付録。16ページを使い14年10月からテレビ放送が始まる「ガンダム Gのレコンギスタ」の全貌を紹介した。このインタビューでは新作ガンダムに対する並々ならぬ意気込みが感じられる。この作品で振り向かせたいのは今のアニメに期待を持っていない子供。ガンダムが登場してから35年間の間に多くの関連作品が生まれ、様々な作品にも影響を与えてきたが、今回の作品は「50年分もの元ネタをばらまいた」。そこから生まれる新しい土壌を使って花を咲かせるのは今の若いクリエイターではなく、現在10代の子供たちであってほしいなどと語った。作品そのものについては相当の自信があるようで、最近のクリエイターは動画を作ることの深刻さを分かっていない人が多すぎるから、動画というのはそんなお手軽なものではないということを「見せつけてやりたい」という意地がある、とも。
そして話は声優に関することに移っていく。今回のキャスティングは様々な制約があって自分の好きな声優たちで固めたわけではない、とし、
「実際にアフレコしてみると、若い声優たちは皆、流行のアニメの演技に汚染されていて、誰でも同じように聞こえてしまう」
だから「地声でやれ」と指導したのだそうだ。いま体から出ている声が欲しいから採用したわけであり、余計な色を付ける必要はない。
「オタクだけが喜ぶようなかわいい声はいらないし、洋画の吹替え的な演技も忘れろといいました」
と打ち明けた。