ダイエットや美肌、さらにはがん予防の効果も期待される断食。ひところのブームは落ち着いたが、今も書店には断食に関する書籍が並び、「体内環境をリセットしたい!」という人々の関心を集めている。
断食の効用については、これまでにもさまざまな研究がなされてきた。栄養学の専門家などの間では異論もあるが、先ごろ、興味深い研究報告が発表された。半年に一度、2~4 日間の断食をすると、免疫系が再生するというのだ。
断食が新しい免疫系をつくる
南カリフォルニア大学(USC)長寿研究所のヴァルテル・ロンゴ教授らの研究によると、断食によって血液や免疫系の生成にかかわる造血幹細胞が活性化して、新しい白血球が生み出され、免疫系が再生することがわかった。
2014年6月5日付のUSC Newsが伝えたところでは、「飢餓状態になると、体はエネルギーを節約しようとして、ダメージを受け不要になった免疫細胞をリサイクルしようとするのではないか」とロンゴ教授は分析している。断食はさらに、幹細胞の活性化を阻害する酵素(PKA)や、老化やがんのリスクと関係するホルモン(IGF-1)を減少させるという。「断食は、老化や化学療法の副作用でダメージを受けた免疫システムを再生する。文字通り、新しい免疫系をつくるのです」とロンゴ教授。
そのメカニズムは動物実験上で明らかになってきたという段階だが、確証を得られれば、免疫力が低下した高齢者や、がん治療などの化学療法を受けている人にとって福音となる。