先行する神奈川、兵庫でも完全禁煙ではない
これまで自治体のいわゆる「禁煙条例」は、神奈川県で10年から「受動喫煙防止条例」、兵庫県で13年から「受動喫煙の防止等に関する条例」がそれぞれ施行されている。学校や医療関係施設での禁煙が定められ、兵庫県ではこれらの施設は建物内に喫煙室を設置することも禁止されている。
禁煙条例の名前が先行しているので、飲食店でもたばこが吸えないと思われがちだが、必ずしもそうではないのが実態だ。神奈川県では調理場を除く100平方メートルを超える大規模飲食店では禁煙または分煙にすること、それ以下の小規模飲食店での禁煙または分煙は努力義務にとどまる。兵庫県でも客席100平方メートル以上の大規模飲食店は分煙義務、小規模飲食店は喫煙ができることを表示することの義務づけにとどまる。
分煙や表示にとどまったのは、飲食店業界からの反発を受けたためだ。喫茶店やアルコールを提供するバーなどは客入りに影響する死活問題と訴え、これを受ける形で両県とも修正を受け入れた。また、神奈川県は3年ごとに条例を見直す規定によって開かれた13年の会合で、小規模店への分煙義務の拡大を議論したが、分煙のための資金やスペースがないとの訴えを受け入れた。
両県とも、愛煙家の憩いの場である喫茶店やバーは各店の判断が尊重されているのが現状だ。舛添知事の考える条例案はまだ明らかにされていないが、もし全面禁煙を目指すものになれば業界から反発を受けそうだ。