内戦が続くシリアでイスラム過激派組織「イスラム国」に拘束された可能性のある日本人男性は湯川遥菜さんとみられている。
湯川さんは東京都江東区にある民間軍事会社「PMC(Private Military Company)」の最高責任者だ。7月21日のブログでは「多分、今までの中で一番危険かもしれない」と渡航に関する覚悟を綴っていた。
職業聞かれ「写真の仕事」「兵士じゃない。医者だ」
シリア北部のアレッポで日本人男性が拘束されたとの情報がヨルダンにあるシリア日本大使館に入ったのは、2014年8月16日のこと。同日にはこの男性と思われる人物が武装勢力に尋問されている映像がYouTube上に公開された。
「日本人への尋問」と題された2分弱の動画で、映像の中の男性は額から血を流し、地面に倒れた状態で尋問を受けている。男性は「どこから来たのか」と聞かれると「日本から来た」と答え、「ハルナ・ユカワ」と名乗っていた。
この場所にいる理由について尋ねられると「仕事だ」と応じ、職業は「写真の仕事」だと答えた。「写真家はこんな恰好をしないだろう。なぜお前は銃を持っているんだ」「CIAだろう」などと問い詰められると、「違う違う、兵士じゃない。医者だ」「ジャーナリストと医者の半分半分」などと返答した。
18日になり、この男性は民間軍事会社「PMC」の最高責任者、湯川遥菜さんとみられることが大手メディアによって次々報じられた。
同社は「国際民間軍事業、国外警護、海上護衛(武装ガード)、後方支援業務、紛争地域等での護衛」を事業内容とする会社で、湯川さんのブログやFacebookページによれば、湯川さん自身もイラクやシリアへ渡航していた。
シリアの反体制武装組織「イスラム戦線」の地区幹部は共同通信の取材に、湯川さんが同行していたと証言している。現地レポートを書くことが目的だったようで、イスラム戦線とイスラム国の戦闘を取材に行ったが、戦闘に巻き込まれて拘束されたということらしい。