民事再生法の適用を申請し、2014年5月に経営破綻した日用品メーカー、白元(東京都台東区)は7月末、ライバルでもある同業の殺虫剤大手、アース製薬(同千代田区)を再建のスポンサーに選んだ。
防虫剤「ミセスロイド」など数々のヒット商品を生みながら経営に行き詰まった老舗企業は今後、アース製薬傘下で再建を目指す。ただ、アース製薬との相乗効果については「未知数」(業界関係者)との見方が多く、先行きは楽観できない。
受け皿会社は「白元アース」
白元はアース製薬が設立する受け皿会社「白元アース」に、防虫剤や保冷剤などの全事業を計75億円で譲渡。これを原資に債権者への借金を返済する。白元のグループを含めた従業員約400人の雇用は維持し、北海道や埼玉県など全国4か所にある工場も閉鎖せず操業を続ける。
関係者によると、スポンサーには同業の防虫剤大手、エステーや投資ファンドなど複数が名乗りを上げていた。しかし、400人の雇用とブランドの維持を最重視して選定作業を進めた結果、最終的にアース製薬が選ばれたという。
そもそも保冷枕「アイスノン」など多数のヒット商品を抱える白元が経営破綻に陥ったのは、「無理な拡大路線がきっかけ」だったとされる。拡大路線を突き進んだ結果、有利子負債が膨らみ、資金繰りが悪化する状況が積み重なった。今年1月にはロングセラーブランド「ホッカイロ」の使用を含め、使い捨てカイロの国内販売事業を医薬品メーカー、興和に売却したが、資金繰りの悪化からは抜け出せなかった。量販店向けの安売り競争が拍車をかけたとされる。