ローマ・カトリック教会のフランシスコ法王が2014年8月14日午前、ソウル郊外の空軍基地に到着し、5日間にわたる韓国訪問が始まった。法王がアジアを訪れるのは1989年のヨハネ・パウロ2世以来25年ぶり。
国民の1割をカトリック教徒が占める韓国では総じて歓迎ムードだが、いわゆる従軍慰安婦問題を首脳会談で取り上げる方針が報じられるなど、法王の訪韓に乗じて対日批判を狙う向きもあるようだ。
ミサで元慰安婦の女性と面会予定
専用機のタラップから降りてきた法王を朴槿恵(パク・クネ)大統領が自ら出迎えるという厚遇ぶりで、テレビ各局はその様子を生中継し、国民の高い関心を反映した。法王は14日午後には青瓦台(大統領官邸)で歓迎式典に臨み、15日には中部の大田(テジョン)で「アジア青年大会」に出席する。16日には、18世紀から19世紀にかけて殉教した信者124人を「聖者」に次ぐ「福者」に認定する「列福式」をソウル中心部の光化門で行う。訪韓最終日の18日には、韓国で最も有名な教会として知られる、ソウルの「明洞(ミョンドン)大聖堂」で「平和と和解のためのミサ」を行う。
韓国のカトリック教会にとっては「アジア青年大会」と列福式の意義が大きいが、対日関係で大きな意味を持つのが明洞でのミサだ。このミサの際、法王は元慰安婦の女性とも面会予定だと報じられているからだ。面会が予定されているということを理由に、慰安婦問題が14日午後の首脳会談で話題になった可能性がある。