女子中学生や高校生が制服のスカート丈を短くすることはもはや定番と化している。「短い方がかわいい」「長いとダサい」といった気持ちがあるようだが、すぐに下着が見えてしまいそうなほど短くしているような学生もいて、「みっともない」との批判も根強い。
そんな中、「短いスカートは身体に悪影響を与える」とのポスターがネット上で話題になっている。実験に基づいたもので、「科学的に証明された」とも書かれているのだが、あまり納得は得られていないようだ。
短いスカートで免疫力低下、心臓へ負担をかける危険性も!?
話題になっているポスターは、学生向け衣料の製造・販売を行う菅公(カンコー)学生服(岡山市)の商標が入ったもので、福井県でカンコーの衣料の代理販売を行う山耕の公式サイトに2013年11月に掲載された。
ポスターには、倉敷市立短期大学で行われた実験の結果、「短いスカートが身体に悪影響を与えることが科学的に証明されました」と書いてある。
実験は、同一条件の環境でひざ上15センチの短いスカートとひざ中心丈の長いスカートをはき、皮ふ温、深部体温、心拍数心電図、血圧の違いを測定するというものだ。
結果は、長いスカートをはいている時の方が、平均皮ふ温、深部体温どちらも高く、最高血圧と最低血圧の差が大きく、心拍数は少なくなったという。
これを受けてポスターでは、
「深部体温が1℃低下すると、免疫力が30%低下すると言われています。短いスカートは免疫力低下に結びつき、結果として病気になり易く、治りにくい身体になる可能性があります」
「寒さにより血管が細く・収縮すると血流が悪くなり、心臓へ負担をかける危険性があります」
と、短いスカートが与える悪影響を説いている。
トンボは「長すぎるスカート丈は今や通りにくい話」
このポスターの画像が14年8月10日になって、教育社会学者の内田良氏にツイートされたことでネット上に広まった。
ツイッターでは、「女子高生の価値観はかわいいかそうでないかだから体に悪いくらいではやめまい」「だったら制服長ズボンにしろよと。スカートの下にジャージ履くのを校則違反にすんなと。丈数センチ伸ばしたぐらいでどうにかなるわけねーだろ」「昭和時代の女子学生は揃ってくるぶしまで届く程制服のスカート長くしていたから今頃とても健康でいられているのかそりゃよかったね」などと書き込まれていて、あまりポスターの内容を支持する声は聞こえない。
「雑学界の権威」と呼ばれる研究者の平林純氏も13年10月、自身のサイトで「学校の構内でこんなポスターを見かけた」として紹介していて、「寒い日には短いスカートは身体に優しくない…というのは、とても自然な話」とした上で、「『寒くない暑い日であれば、短いスカート丈の方が身体にいい』ということにもなりそう」と、健康面でスタート丈を議論することのナンセンスさを主張していた。
なお、制服メーカーのトンボ(岡山市)の公式サイトでは、むしろ「ひざ中や、ひざが隠れるような長いスカート丈設定」に対し批判的な見方を示している。
制服は学生が愛着をもって着られるものであるべきだ、との立場で、
「長すぎるスカート丈を設定した学校が『生徒なのだから、見かけに気を使うより勉強すべきだ』あるいは『生徒なのだから学校が決めたスカート丈は守るべきだ』という論理は、生徒側にすれば、現代の女性の服装常識から外れた、長すぎるスカート丈設定の検討を怠っていると受け取られ、今やちょっと通りにくい話になっている」
と指摘。学生たちは「制服は今や、街着として、またコミュニケーションツールとしての役割もある」と考えていて、「適度に短いスカートなら、大人が心配するほど危なくないよ、もっと大目に見て」と願っている、としている。