「日中偶発軍事衝突」は起こるのか(12・終)
政治は冷えても経済関係は悪くなっていない 日中は「政経分離」でいけばいい
キヤノングローバル戦略研究所・瀬口清之研究主幹に聞く

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日系の自動車も13年秋からぐんと伸びている

―― 一時は不買運動が起こったほどの日本製品ですが、今の人気はどうなっているのでしょうか。

瀬口: 確かに12年9月から13年夏までは、日本への旅行客が激減しました。ところが今は、個人客では大変な日本旅行ブームです。安倍首相の靖国参拝は13年12月26日でしたが、それから1か月後の1月31日から2月6日の旧正月(春節)期間には、日本に大量に旅行客が押し寄せています。普段は7万円のチケットが35万円に高騰するほどです。北海道、九州、沖縄などが大人気で、1~3月の上海総領事館の日本滞在ビザの発給件数は前年同期比の3倍近くにまで伸びています。日本に対していやな感情を持っていたら、絶対こんなことは起こりません。

   もうひとつは自動車です。尖閣の後は大きく減少し、しばらくは前年同期比50%減といった状態が続いていましたが、ようやく13年の春頃から前年並に戻り、13年秋からぐんと伸びている。この頃には暴動で車が壊される心配はなくなっていました。元々日本車はデザインや価格の面では中国人に人気があるタイプの車ではなかったのですが、13年夏に各社とも中国人好みのデザインで、中国国内の部品を活用してコストダウンしたニューモデルを続々と投入した結果、販売台数が高い伸びを記録しました。14年に入ってからも1~5月の累計で日産が15.4%、トヨタが16.1%,ホンダが10.6%と高い伸びが続いています。日本の代名詞とも言える車も回復していますので、「反日感情が日本の商品の売れ行きに影響している」という状況は終わったと思っています。

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