野菜からでも「O157」に感染する? 今回は「冷やしキュウリ」が原因というが…

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   静岡市葵区で発生した、腸管出血性大腸菌(O157)とみられる集団食中毒は、発症者が2014年8月10日現在で453人に拡大した。

   発症者はいずれも、7月26日に開催された安倍川花火大会の露店で買った「冷やしキュウリ」を食べていて、同31日ごろから腹痛や発熱などの食中毒の症状を訴えている。

O157による食中毒被害、過去10年間で最大規模

「冷やしキュウリ」を食べた人がO157 に感染!(写真はイメージ)
「冷やしキュウリ」を食べた人がO157 に感染!(写真はイメージ)

   腸管出血性大腸菌(O157、O111など)による食中毒は、毎年5月から9月にかけての夏季に多く発生する。これは細菌が高温多湿を好み、その時季に増殖が活発になるためだ。

   O157は、感染すると3日~8日後に下痢や腹痛、場合によっては血便を発症する。静岡市保健所によると、発症者は2014年8月2日ごろから急増。5日には「安倍川花火大会O‐157食中毒事件」による静岡市健康危機管理対策本部を設置してインターネットなどを通じ、食中毒の発症者に「少しでも症状がある方は直ちに最寄りの医療機関を受診してください」と促した。同時に、手洗いの励行や調理器具などの衛生管理の徹底、また身近に「冷やしキュウリ」を食べた人がいる場合には「感染拡大の防止」に努めるよう呼びかけている。

   8月10日までに食中毒を発症した人は453人。なかには、「溶血性尿毒症症候群(HUS)」となった4人の重症患者を含む、入院患者108人がいる。厚生労働省食中毒被害情報管理室によると、O157の集団食中毒としては過去10年間で最大規模となったという。

   原因とみられる「冷やしキュウリ」は1000本近く販売されていたことがわかっているが、日を追って発症者の広がりは少しずつ収まってきているようだ。

   ただ、O157の原因を確定するのは困難だ。

   野菜が原因によるO157騒ぎといえば、1996年7月に大阪府堺市で発生した「カイワレ大根」が有名。O157が原因と思われる溶血性尿毒症候群により死亡した10歳と12歳の女子児童ら、死者3人を含む発症者数は7996人にものぼった。

   当時の菅直人厚労相がその原因食品を「カイワレ大根」と発表したことで、多くの「カイワレ農家」の破産や自殺などが相次ぎ、社会問題化。菅厚労相がテレビカメラの前でカイワレサラダを頬張るパフォーマンスを見せたことを記憶している人は少なくないだろう。

   しかし、このカイワレ大根を生産した施設を立入検査したところ、施設や従業員からはO157は検出されず、結局、原因は特定できなかった。また、風評被害を受けたカイワレ農家らが起こした、国に損害賠償を求める民事裁判では、最高裁で2003年5月に国の敗訴が確定している。

O157の原因食品「基本的に特定できるケースは少ない」

   静岡市保健所は、「感染経路は特定できていませんが、患者は『冷やしキュウリ』を食べており、いずれもO157が検出されています」と話している。

   野菜からO157に感染するケースは多いのだろうか――。厚生労働省によると、「基本的に食材を特定できるケースは少なく、むずかしいといえます。なので、一概に(野菜が)多いということはできません」という。

   というのも、「多くの場合、提供されている食事から発生するので、どの食材が直接の原因になったということがむずかしいんです」と説明する。

   今回の静岡市のケースは原因食品が「冷やしキュウリ」とわかっている。しかし、2014年1月以降(7月18日付まで)に全国で発生した食中毒は、343件あるが、このうち原因となる食品がわかっているのは約23%(78件)しかない。

   そこに共通していることは、食材にはフグやカキ、鶏ささみなどが多く、刺身などと生で食されているケースが多いことくらいだ。

   厚労省はホームページで、野菜のO157を除菌するには、「湯がき(100度湯で5秒間程度)が有効である」と指摘している。

   野菜については、

(1)新鮮なものを購入し、冷蔵庫で保管するなど保存に気をつける。
(2)ブロッコリーやカリフラワーなどの形が複雑なものは、熱湯で湯がく。
(3)レタスなどの葉菜類は、一枚ずつはがして流水で十分に洗う。
(4)キュウリやトマト、りんごなどの果実もよく洗い、皮をむいて食べる。

ことを勧めているほか、「食品用の洗浄剤や次亜塩素酸ナトリウムなどの殺菌剤を使ったり、食材を加熱処理したりすることで、殺菌効果はより高まります」としている。

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