日本政府に戦争への謝罪と賠償を要求する「抗日連合会」
カンナ氏の寄稿には、共著者としてふたりの名前が書かれている。いずれも所属は「世界抗日戦争史実維護連合会」(以下、抗日連合会)という団体だ。「維護」とは維持、保護を意味する中国語。公式サイトを見ると、太平洋戦争で旧日本軍によりもたらされたアジア・太平洋地域の被害や犠牲を歴史的に検証し、真実を明らかにする目的で設立されたとある。特に強調しているのが日中戦争で、旧日本軍の中国への侵攻について地図入りで説明。日本政府に対して、戦争犯罪に関する明確な謝罪と犠牲者への賠償、「戦争の歴史のねじまげや否定、ごまかしを改める」ことを要求している。
別のページでは、団体の目的遂行の進ちょくのひとつとして、全米各地に広がっている「従軍慰安婦の碑」建設に関する記述があった。2010年のニュージャージー州パリセイズパーク、2012年のニューヨーク州ウエストバリーの碑が写真入りで紹介されている。
抗日連合会の内幕は、産経新聞ワシントン駐在客員特派員の古森義久氏の著書「中・韓『反日ロビー』の実像」(PHP研究所)に詳しく書かれている。結成は1994年、カンナ氏の選挙区で米アップルが本社を構えるクパチーノに本部がある。中国政府と深くつながる中国系米国人が組織の中心で、「日本の戦争犯罪」をテーマにした国際会議やシンポジウム、討論会を数多く主催し、旧日本軍の捕虜となった元米軍人による損害賠償訴訟を後押しして米国内での「反日活動」を進めてきたという。