強い台風11号は2014年8月10日朝に四国に上陸後、西日本を中心に土砂崩れや道路の冠水など多くの被害をもたらした。
台風の影響で、予定されていた大規模イベントの中止が相次いだ。東京湾の花火大会に加えて、音楽フェスティバルも安全確保のため開催をやめた。
「浴衣も用意してたのに残念」「泣きたい」
台風11号により、和歌山県新宮市を流れる熊野川が氾濫したほか、大阪府堺市では女性が川に流されて死亡した。NHKの報道によると避難指示・勧告の対象は全国で約67万人にのぼる。交通網にも大きな影響が出て、2014年8月10日午前11時点で日本航空が95便、全日空グループが74便を欠航した。東海道新幹線でも一部区間で運転を見合わせダイヤが乱れた。台風を取り巻く雨雲や湿った空気が流れ込み、関東甲信越地方でも激しい雨が降っている。
こうした状況を受けて、東京都中央区は東京湾の花火大会の中止を決定した。公式ウェブサイトに「本日実施される予定の第26回東京湾大華火祭は荒天のため、すべて中止となりました。順延はありません」と発表した。前年は68万人が集まった大きなイベント。花火1万2000発を打ち上げる予定だったため、ネットには落胆する声が多数あふれている。
「行きたかったのになー。浴衣も用意してたのに残念」
「東京湾花火中止のアナウンスが聞こえる。。ショック」
「花火がすぐ目の前に見えるレストラン予約して1ヶ月以上前から楽しみにしてたのに……泣きたい」
大阪市では、「なにわ淀川花火大会」が8月9日に実施できなかったため10日に順延したが、荒天が続くと予想して初となる完全中止を決定した。ツイッターには会場近くのコンビニとされる店内の写真が投稿され、花火客を見込んで大量に仕入れたであろうペットボトル飲料やおにぎりがさばき切れず山積みになっていた。
音楽フェスティバルも台風で中止に追い込まれた。神奈川・リビエラ逗子マリーナの特設会場で開催予定だった「MTV ZUSHI FES 14 supported by RIVIERA」は、強風で観客、アーチスト、スタッフの安全を確保できないと判断したという。
「本祭」当日朝8時に開催を発表
一方、高知県の「よさこい祭」は9日の前夜祭が中止になるなど、10日から始まる本祭の開催が危ぶまれていたが、天候が回復して予定通り開催された。9日の時点で「台風による甚大な被害がない限り開催する」とプレスリリースを出し、10日午前8時によさこい祭り振興会ウェブサイトで開催を発表した。
台風11号は午前6時すぎに同県東部にある安芸市付近に上陸したが、祭りの始まる午後には開催場所となる高知市中心部を遠ざかっていくと判断したという。すでに台風が通り過ぎた場所からは天気の予想がしやすいため、イベント開催に踏み切れたようだ。
報道によると、祭りには1万9000人が参加。参加した人たちは、前夜祭が中止に追い込まれたうっ憤を晴らすようかのように力強く踊っていたという。