尖閣諸島は、沖縄県石垣市に属している。中国との間で領有権問題はないというのが日本政府の立場だ。地元では日本の立場をどうとらえ、日中関係をどうすべきだと考えているのか。
石垣市生まれで、琉球独立を目指す、龍谷大学教授の松島泰勝さんに尖閣問題に対する「異論」を聞いた。
自衛隊配備計画めぐり島が二分され、親族が対立して住みにくくなった
―― 2012年に尖閣諸島を国有化したのを機に、周辺海域の緊張が高まっています。真っ先に影響を受けるのが琉球だとも言えますが、この国有化をどう評価しますか。
松島: 国有化から急に緊張感が高まりました。それまでは、尖閣をいわゆる「棚上げ」状態にして、その扱いを将来の世代に委ねることになっていました。つまり、尖閣を争点にしないことで、平和が維持されていたわけです。ですが、国有化を通じて「尖閣諸島は日本領で、日本国の持ち物だ」と世界に、特に中国に宣言した形です。
それ以降、島嶼(しょ)防衛や自衛隊基地配備計画が進み、日本最西端の与那国島でも配備受け入れをめぐって島が二分されました。同じ島の中で親兄弟、親族が対立することになり、非常に住みにくくなり、人口が減るという結果を招きました。このようなことは、石垣島や宮古島でも起こりうると思います。これらの島々が戦場になる恐れも高まります。そういう危機感を持っています。