産経新聞がインターネットに掲載した記事で韓国の朴槿恵大統領の名誉を毀そんしたとの市民団体の告発を受けて、ソウル中央地検が同社ソウル支局の加藤達也支局長(48)に事情聴取のため出頭するよう求めたことがわかった。
産経新聞は2014年8月9日付朝刊で、加藤支局長が12日に出頭するよう求められていることを明らかにした。8月3日、「MSN産経ニュース」に掲載された「追跡~ソウル発 朴槿恵大統領が旅客船沈没当日、行方不明に…誰と会っていた?」の記事が問題視されている。
「名誉毀そん容疑で出頭。理解に苦しむ」
記事は、4月16日に起きた旅客船・セウォル号の沈没事故の当日、朴大統領の姿が7時間にわたって確認できなかったことをめぐり、その間の行動などに韓国国内で論議が高まっているという内容。
セウォル号事故などをきっかけに、6割前後だった朴大統領の支持率が4割に落ち込んだことを引き合いに、「こうなると吹き出してくるのが大統領など権力中枢に対する真偽不明のウワサだ。こうした中、旅客船沈没事故発生当日の4月16日、朴大統領が日中、7時間にわたって所在不明となっていたとする『ファクト』が飛び出し、政権の混迷ぶりが際立つ事態となっている」との書き出しではじまる。
韓国の国会内での議論やうわさ、地元紙、朝鮮日報に掲載されたコラムなど公開されている情報をもとに、それらを紹介するかたちで書かれている。
ウェブサイトへの掲載後、産経新聞には韓国大統領府からソウル支局に抗議があったほか、在日本韓国大使館から東京本社に「名誉毀そんなどにあたる」として記事削除の要請があったが、同社は記事の削除に応じていない。
小林毅・産経新聞東京編集局長は8月9日付の紙面で、「問題とされた記事は韓国国会でのやりとりや朝鮮日報コラムの紹介が中心であり、この記事を理由に名誉毀損容疑で出頭を求められるというのは理解に苦しむ」とコメントしている。
インターネットでは、
「朝鮮日報のコラム書いたやつ逮捕しないの? あれが大元だろ」
「言論統制そのもの」
「こういうのをファシストと呼ぶ」
などといった産経新聞を擁護するカキコミが少なくない。