「日中偶発軍事衝突」は起こるのか(9)
日本の悪口は中国の一般人の好みに合う だから紙面に日本の批判があふれる
香港フェニックステレビ、リー・ミャオ東京支局長に聞く(下)

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朝日「防衛相『領空侵犯、信号弾で警告』」は問題記事だ

―― 二つ目として「中日討論会の定期開催」を提案しています。

リー: 討論会はフェニックステレビでも取り組みを進めています。日中の有識者を呼んでテレビで生討論する。13年9月に、日本側からゲストに来てもらって同時通訳付きで放送しました。自国で当然のように語られている主張を相対化して理解するきっかけになればいいと考えています。

―― 三つ目が「中日メディアの相互チェックの枠組み」。日中メディアがお互いに誤報を出し合っている感があります。日本では、誤報を指摘するサイト「Gohoo」が登場したりしていますが、習近平政権がメディア規制を強めている中国では、このような動きは難しいでしょうか。

リー: これは本当に難しい問題です。日本側の報道が問題になったケースでは、朝日新聞が13年1月15日にニュースサイトに「防衛相『領空侵犯、信号弾で警告』中国メディア質問に」という見出しで掲載した記事が代表的です。会見では小野寺五典防衛相は領空侵犯への対処方針が変わっていないことを一般論として述べたに過ぎず、「信号弾」や「警告射撃」といった単語も口にしていません。ですが、この朝日新聞の記事は、まるで日本が中国に宣戦布告したかのような印象を中国メディアに与えることになり、大騒ぎになりました。日中ジャーナリスト会議という仕組みはありますが、その中では互いの記事を検証するところまではできていません。

リー・ミャオさん プロフィール

りー・みゃお 香港フェニックステレビ東京支局長。中国吉林省出身、吉林大学日本語学科を卒業後、1997年に来日。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科で国際関係を学び、博士課程単位取得退学。国際放送「NHKワールド・ラジオ日本」中国語アナウンサーを経て2007年から現職。

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