「日中偶発軍事衝突」は起こるのか(8)
今でも「尖閣は中国が実効支配している」 中国ではそう思い込んでいる人も多い
香港フェニックステレビ、リー・ミャオ東京支局長に聞く(上)

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「ダメ元」で抗議船に乗ったら出港できてしまった

―― フェニックステレビが日中をめぐる事件の当事者になったこともありました。2012年に尖閣諸島に香港の活動家が上陸した際、抗議船に乗っていたフェニックステレビの記者も身柄を拘束され、那覇で中継していたリーさんも日本メディアから注目されました。

リー: フェニックステレビの記者とカメラマンが抗議船に乗っていたのは事実ですが、「フェニックステレビが活動家と結託していた」といった報道は誤りです。この抗議船は、毎年尖閣に向けて出港しようとしては香港当局に阻止される、ということを繰り返してきた経緯があります。記者は言わば「ダメ元」で同乗取材したところ、どういうわけか阻止されずに尖閣までいくことになってしまいました。
   カメラマンは、パスポートすら持っていませんでした。この記者は、台湾沖を通過した時は「こんなぼろい船で台湾まで来られたのが奇跡だ」と話していたほどです。後に「まさか尖閣まで行くとは思わなかった」とも話しています。私が那覇で取材していたときは、現場に着いたとたんに日本のメディアに囲まれて、自分のリポートも邪魔されたような形になりました。

―― 現場からリポートするときに、何か気をつけていたことはありますか。

リー: できるだけ客観的に報じるということです。「日本政府はけしからん」「なぜ私たちの記者をつかまえるんだ」といったことは私の口からは言いません。ただ、中国ではこの件は大変な関心事になっていて、冷静に考えられる視聴者が少なくなっているのも事実です。単純に「中国人記者が日本に逮捕された→日本が不当なことをしている」としか報じないメディアがほとんどです。
   そうではなくて、せっかく日本まで来て特派員をしている訳ですから、「日本人は何を考えているのか」「日本の警察は『不法上陸者』に対してどのような対応をしないといけないのか」「日本の中でどういう雰囲気が、どういう経緯でできあがったのか」といった事柄を伝えるように努めています。
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