「ハムスターを3匹釣れたら、1匹あげます」。大阪市内であった夏祭りで、こんな「ハムスター釣り」の露店が出ていたことが分かった。ネット上では、動物虐待に当たるのかを巡って、議論になっている。
「可哀想、ぼさぼさでぐったりしてるのおるし」「こんなことが、あるなんて!!!ショック!」
ツイッターなどでは、2014年7月13日ごろから、ハムスター釣りについて写真付きでこんな報告が相次いだ。
「動物虐待にならない」とはするが…
露店業者は、大阪市平野区の杭全(くまた)神社で7月11~14日まで開かれた夏祭りに出店していた。ハムスター釣りとは、釣竿の先にコーンなどのエサを着け、ハムスターが食いついたタイミングで引っ張り上げてお椀に入れるというものだ。1回500円で、エサが釣竿から外れたら終わりだった。
こうした商売については、「動物虐待ではないか」とネット上で次第に話題になった。8月3日ごろからは、情報サイトなども取り上げる騒ぎになっている。ネット情報によると、この業者は以前、ほかの神社などの祭りでも次々に出店していた。
ハムスター釣りそのものは、数年前からあるらしい。
ユーチューブでは、「ハムスター釣り」の動画が1年前に投稿され、物議を醸している。この動画は、これまでに40万回ほども再生されるほどの話題だ。ハムスター釣りについては、「金魚はよくてハムスターはだめなの?」「そう悪いことでもないと思う」といった声もあり、ネット上で賛否が分かれている。
もっとも、ハムスター釣りがもし動物虐待になれば、動物愛護法の第44条違反に当たる。この点について、大阪市の動物愛護相談室では、杭全神社に出店した業者はそうならないとの見方を示した。
金魚すくいは「昔からあり、否定難しい」
「ハムスターを食いつかせていたのはまっすぐに伸びた針金で、ただちに傷つくわけではありません。猛暑の中で箱に閉じ込めていたりするなど、死にそうな状況でもありませんでした」
しかし、ハムスター釣りを商売にすることは、止めてほしいと言う。
「ゲームの高揚感だけで景品としてもらっても、その人がちゃんと飼わないかもしれません。大事にされるか分からないので、動物愛護上は好ましくないと考えています」
ただ、金魚すくいについては、魚類のため動物愛護法の対象外であり、昔から日本で伝わるものだけに、否定するのは難しいとしている。
なお、杭全神社に出店した露店業者の場合は、動物取扱責任者の資格がなく、どこの自治体にも動物取扱業の登録をしていなかった。また、神社からの許可も取っておらず、市は、動物愛護法第10条違反(非登録)に当たるとして、夏祭り3日目の2014年7月13日に出店を止めるよう指導した。その結果、業者はその日のうちに撤退したという。
こうした対処は、前日に大阪府警から通報を受けて行ったとしている。