「日中偶発軍事衝突」は起こるのか(5)
中国空軍はなぜ危険行為を仕掛けるのか 自衛隊機に異常接近繰り返す背景
元駐中国防衛駐在官・小原凡司氏に聞く

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近代戦では、統制が取れた軍隊が強い

―― これは空軍に特有の雰囲気なのでしょうか。

小原 元々人民解放軍が外国軍と交流を始める前は、陸海空みんなそうでした。それが、外国軍隊と10年以上交流を続け、海外での活動も増えてきた海軍は、変化しつつあります。交流を通じて「海軍はどういうものか」ということを理解しつつある。13年のレーダー照射事案以降は、あからさまには同様の事案は起きていません。14年の西太平洋海軍シンポジウムは中国の青島で開かれました。これは中国海軍が主催したということを意味しますが、拘束力はないものの、「洋上で火器管制レーダー照射のような危険な行為は行わない」旨が合意されています。
   これは、少なくとも中国海軍としては、再発はないという意思表明だと言えます。万が一繰り返すと、中国海軍トップの顔に泥を塗ることになります。14年は環太平洋合同演習(リムパック)にも中国海軍は艦隊を派遣しましたが、中国海軍自身が国際的な演習、交流の場で、ある程度きちんと振る舞えるという自信を持ったということでもあります。
   特に近代戦では、統制が取れた軍隊が強い。個々が勇ましいだけでバラバラに動く部隊は、近代戦では相手になりません。中国海軍では、国際的なルールを含めて、「海軍とはなんたるか」を具体的に理解しつつある。これは同時に、中国海軍が戦う相手としてもますます手強くなるということも意味します。もちろん、国際的な常識を備えているということは「理解できる相手になる」ということでもあるので、米海軍も歓迎しています。
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