「日中偶発軍事衝突」は起こるのか(3)
戦闘機同士の接触やレーダーロックオン それが軍事衝突の発端になる可能性十分ある
評論家、潮匡人さんに聞く

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抑止力高めて信頼醸成に向けた努力することが重要

―― そうは言っても、一度衝突してしまうと日中双方が失うものが大きい。衝突を避けるためには何ができるのでしょうか。

: 大きく2つしかないと思います。ひとつが、日本の抑止力を高めること。現在の集団的自衛権の問題については、日米同盟の抑止力を高めることが期待できるので、現在の安倍政権の方向性を基本的には支持しています。ですが、7月の閣議決定でも物足りないと考えています。さらに武器使用の制限を緩和するなど、まだまだやるべきことがあります。防衛予算についても、減少が続いた民主党政権と比べると増加に転じていますが、安倍政権は0.8%しか引き上げていません。これでは中国の軍拡に対応できません。
   ふたつ目の対策としては、信頼醸成措置について相互の努力をすることです。特に日中間はほとんど手つかずだと言っていい。例えば軍当局間のホットラインを設置することが有効です。案外知られていませんが、日韓にはホットラインが存在します。これだけ関係が悪化している日韓間でも、元々現場同士はつながりがある。
   韓国軍の軍人が自衛隊の幹部学校に留学し、自衛隊員と一緒に学んだりもしています。私も以前から陸自幹部学校で学生の論文指導もしていますが、留学生の教え子が韓国に帰国して出世し、日本の駐在武官になったりもしています。少なくても日韓については、こうした人的交流がある。これを日中でも行うことは可能でしょう。日本政府としては「対話のドアは常にオープン」ですし、日本側は一貫して自制的対応を続けています。そう考えると、中国に改善すべき点が多いのは疑いの余地がありません。

潮匡人さん プロフィール
うしお・まさと 作家、評論家。拓殖大学客員教授。国基研客員研究員。岡崎研特別研究員。東海大学講師。1960年生まれ。防衛庁・空自勤務、聖学院大専任講師、防衛庁広報誌編集長、帝京大准教授など歴任。著書に「日本人として読んでおきたい保守の名著」(PHO新書)、「常識としての軍事学」、「日本人が知らない安全保障学」(ともに中公新書ラクレ)。

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