どちらかに犠牲者が出ても、双方に出ても、日中両国の世論が沸騰する
―― 東シナ海の「ど真ん中」で接触した場合、どうなるのでしょう。
潮: 自衛隊機の墜落もあり得ます。日本からかなり離れているので、自衛隊機の搭乗員の捜索、救助が最優先のミッションになるでしょう。海南島の事件は、米国本土からすれば「地球の裏側」で起きたことで、行方不明になったのは中国側のパイロット。米側に死者が出なかったこともあって、米世論は「どうせ軍隊同士の出来事だろう」と静観していた面もありました。
ですが、今回のケースでは、どちらかに犠牲者が出ても、双方に出ても、日中両国の世論が沸騰することになるでしょう。「30メートル」という距離は両機の胴体部分の距離だという情報もあり、これが正しいとすれば、両機の翼と翼の間は数メートルしかなかったことになります。意図していない場合でも接触してしまうリスクは十分あります。むしろ過去2回の事案で接触しなかったことが幸運なぐらいです。だからこそ、防衛省は2例を「特異事例」として公表に踏み切ったわけです。