中国軍の基地に強制着陸させられるというのは考えにくい
―― 2014年6月の異常接近事案では、30メートルという「間一髪」の距離でした。仮に接触してしまった場合は、何が起こるのでしょうか。
潮: 2001年に中国の海南島で起きた事件がモデルケースになりえます。海南島から110キロ離れた南シナ海上空の公海上で、米海軍の電子偵察機と中国軍の戦闘機が接触し、中国機は墜落してパイロットが行方不明になりました。米軍機は海南島に着陸させられ、乗務員は身柄を拘束されました。日中についても、当時と同様の展開になる可能性は十分にあると思います。
ただ、今回は日中の中間線の付近で起きているのに対して、海南島事件が起きたのは、国際法上は中国側の排他的経済水域(EEZ)の中でした。米側はかなり陸地に近い場所で偵察行動をしていたようなので、海南島に着陸せざるを得なくなったという事情があります。この点で、2つのケースには若干の違いがあります。「二度あることは三度ある」といいますが、自衛隊機が日中の中間線で衝突したとしても、自衛隊機が中国軍の基地に強制着陸させられるというのは考えにくい。