ホンダも軽スポーツカー市販か
もちろん、コペンの人気は維持費の安さだけではない。ダイハツはコペンの発売に当たり、「軽自動車の新しい価値を提供すべく、開発・生産と営業活動の両面から新たな取り組みを実施する」と表明。ボディーの外板を13個の樹脂パーツで構成し、クルマ購入後もユーザーの好みに合わせてデザインを変更できるようにするなど、新たに「着せ替え機能」を搭載した。
また、全国の販売会社の店舗に認定ショップ「コペンサイト」を設置し、認定スタッフ「コペンスタイリスト」がコペンの楽しみ方を提案するなど、新たな試みを導入した。トヨタも86のカスタマイズやイベントなどの情報発信基地としてディーラーを活用しているが、子会社のダイハツも同様の戦略をとったのが功を奏したようだ。
日本国内ではバブル末期の1990年代初頭、軽の本格スポーツカーが次々と登場した。ホンダビート、スズキカプチーノ、オートザム(マツダ)AZ―1などだ。いずれも軽の枠内で最高の性能を求めたスポーツカーで、一世を風靡した。これらのスポーツカーが姿を消した後、2002年にデビューし、2012年の生産中止まで長く孤高を保ったのが前作のダイハツコペンだった。
新型コペンのヒットは次の期待を生む。ホンダは2013年秋の東京モーターショーに軽スポーツカー「S660コンセプト」を参考出品した。早ければ2014年度にも市販するとみられる。
軽のスポーツカーが相次ぎ市場に投入されるのは、バブル期以来となる。自動車を取り巻く環境は変わったが、スポーツカーを維持費の安い軽で所有するメリットは大きい。若者だけでなく、子供が独立したシニア世代の夫婦にも軽スポーツカーの登場は朗報だろう。