マックだけじゃない、外食業が嵌った「低価格競争のワナ」

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   「チキンマックナゲット」などの仕入れ先の中国企業が使用期限切れの鶏肉を使っていた問題で、日本マクドナルドホールディングス(HD)のサラ・カサノバ社長兼最高経営責任者(CEO)が陳謝した。

   カサノバ社長は問題の発生理由について、2014年7月29日の決算発表で、「だまされたと思うし大変憤りを感じる」と話し、今後は「検査の基準を厳しくし、頻度も上げる」など管理体制を強化すると訴えた。

仕入れ先、原材料… はっきりわからない

米国的マネジメントの限界なのか…(画像はイメージ)
米国的マネジメントの限界なのか…(画像はイメージ)

   「わたしどもは信頼関係を裏切られた」――。日本マクドナルドと同様に、「被害」にあったコンビニエンスストア大手のファミリーマートもまた、消費者に謝罪する一方で、中山勇社長が口にしたのは中国企業への恨み節だった。

   とはいえ、消費者にしてみれば「販売しただけで、製造した責任はない」と言い逃れをされているようで気分が悪い。企業コンサルタントの大関暁夫氏は、今回の鶏肉問題は「外食産業全体の問題」と指摘する。

   背景には、ファーストフードで過熱する「低価格競争」がある。「商品の低価格化は、生産能力をアップさせることで安く提供できる商品をつくるというのがセオリーです。それが昨今の『安いもの勝ち』のような風潮のなかで、商品を安くするために、安くつくれる材料や場所、人を探してきてつくっている手法がそもそもの間違いを生んでいます」と話し、低価格による商品提供が「限界にきている」とみている。

   日本マクドナルドは再発防止策として、「仕入れ先の検査の基準を厳しくして、頻度を上げる」としている。

   サラ・カサノバ社長は「以前から厳しい品質管理と行動基準を求め、上海福喜食品にも定期的に検査していた。ひとりの母親の立場に立って高品質の商品の提供に全力を傾ける」と強調。また、消費者に向けても仕入れ先の情報開示を強化する方針を打ち出した。

   ただ、マクドナルドやファミリーマートに限らず、どの商品をどの国から輸入しているのか、情報を公開していない場合が少なくない。まして仕入れ先の企業名は、お客からは見えない。さらにチキンナゲットやハンバーガーの原材料のように、いったいなんの肉なのか別の物なのかもはっきりとわからない場合もないわけではないし、きちんと調理されているのか確かめようがない。打ち出した再発防止策も、限界はある。

鶏肉問題は米国的なマネジメントの限界示す

   そうしたなか、日本マクドナルドは新商品の「豆腐しんじょナゲット」を、2014年7月30日に発売。まったく偶然のタイミングで、同社も「販売は食肉問題が発生する前から準備されていました」とコメントしているが、「チキンマックナゲット」にしても、そもそもお客は原材料よりも「マクドナルド」という「ブランド」を信用して購入している。

   前出の大関氏はこう話す。

「コストを必要以上に落とすことのリスク、それが食べものであれば、品質が落ちれば危険度(人体へのよくない影響)が増すことのリスクを、消費者もそろそろ認識すべきです。これまではブランド力を信用してきたのでしょうが、今後はそればかりではいけないということでもあります」

   企業が本気で品質を向上させようとするのであれば、まず中国での生産をやめてみる。それは販売価格の上昇を意味するが、適正な価格でモノをつくるというのはそういうことだ。

   鶏肉問題は、低価格競争で売り上げを伸ばす、米国的なマネジメントの限界を示しているかもしれない。

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